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【第8回保育スキルアップ・セミナー開催報告】5~6分が生命の分かれ目!保育の現場に潜む『子どもの窒息』即時対処法

2014.10.13

9月27日の第8回保育スキルアップ・オープンセミナーは『子どもの窒息』をテーマに開催しました。 講師の遠藤ノボル先生いわく、「窒息」はケガや転落事故、噛みつきやひっかきなどに比べると地味で人気のないテーマなのだそうですが、窒息が保育現場を含めて多くの子どもの死亡事故につながっている現実がある以上、これまで注目されてきていないポイントもあわせて、詳しくお伝えしていきます。

 

子どもはどうやって窒息するの?

子どもが窒息する要因は大きく以下の3つに分けることができます。窒息は1つではないのです。
1)食べ物やおもちゃが「気道に詰まる」
2)手洗い場、洗濯機、水桶など様々な場所で「溺れる」
(決してプールや川など大げさな場所だけではありません)
3)睡眠中に寝具などで「鼻や口がふさがる」

今回のセミナーでは、窒息の中でも1)「気道に詰まる」を中心にお話しいただきました。

 

子どもの気道に詰まるもの・・・このおやつや、あのおもちゃも!?

では、保育の現場で「気道に詰まるもの」は何でしょうか?
一番詰まるのは、ごはんや離乳食。おやつに多い赤ちゃんせんべいやウエハースも詰まることがあります。
赤ちゃんせんべいやウエハースは、乳児で歯の生えきっていない時期にも与えることがあり、溶けるから大丈夫だと思いがちです。 しかし、唾液で水分を含むと口の中にはりついたり、膨張したりして、詰まってしまうそうです。
食べ物以外でも、保育スペース装飾の一部がはがれて口の中に入ってしまう、木製のままごとセット(おもちゃの包丁で食べものを半分にカットできる)など、詰まるものは小さいものだけとは限りません。実際に木製のままごとセットでは、いちごの半分が喉に詰まって死亡に至ったケースが報告されています。

一方で、軽い咳込みで解除されるような窒息(喉にひっかかかったものがとれる)の場合、保育士は窒息が起こったこと自体を忘れてしまいがちだそうです。
傷が目に見えて残る怪我と違って、窒息のヒヤリハット事例はほとんど報告されていないとのこと。
速報でもお伝えしたように、窒息は呼吸停止→脳に酸素がいかなくなる(脳の機能が停止する)→心臓停止へと重大な事故につながる前兆の状態です。

私たち大人は、たとえ軽い窒息であっても「事故」として認識する必要があります。

 

「お食事中、立ってはいけません!」子どもをどうやって説得しますか?

この言葉、保育だけではなく、家庭でもよく聞きます。
なぜ立ってはいけないのか、参加者に理由をたずねたところ、「お行儀が悪いから」というマナーを理由にする声が多くあがりました。
遠藤先生からは、マナーも大切ですが、マナー以上に大切なこと、すわって食べないと窒息につながってしまうという身体の仕組みを説明いただきました。 身体の構造として、喉の先は2つの道に分かれます。

喉(図解)

(出典:一般社団法人日本耳鼻咽喉科学会

1つめは後ろ側を通る「食道」。食べ物が通過し、胃に向かっていきます。

2つめは前側の気管と示されている「気道」。空気の通り道で、肺に向かっていきます。
通常、食べる瞬間は自然に呼吸が止まることで、気道のフタ(喉頭蓋)がしまり、食べ物は食道に向かう仕組みが備わっています。 しかし、立ち上がったり、(座った状態でも)歌を歌ったりはしゃいだりすることで呼吸をしてしまうので、気道のフタが開いてしまいます。そして気道に食べ物などの異物が入る「誤えん」から窒息に至ってしまうのです。

「お行儀が悪い」というマナーだけ理由に子どもを説得しようとすると、中にはいうことを聞かない子どもも出てくる。その時に「今まで事故も起きたこともないし・・・」という理由で、保育者が説得をあきらめて目を離した時に深刻な事故が起こってしまうという遠藤先生のお話は、多くの参加者が「理解を深めることができた」と評価いただいたポイントでもありました。

実際に子どもが窒息状態に陥ったと判断したら、気道異物の除去や心肺蘇生を行っていきます。
JaSCAの「認定病児保育スペシャリスト」認定試験でも乳児(1歳未満)の気道異物の除去や心肺蘇生法について出題事例と解説を掲載していますので、不安を感じる方は、それぞれこの機会に確認をお願いいたします。
乳児の気道異物の除去→こちら
乳児の心肺蘇生法→こちら


1歳未満の乳児と1歳以上の子どもでは対応が異なっています。参加者からは「0歳か、1歳か、見た目で判断する必要がある時は、どうしたらよいか?」という質問が寄せられましたが、遠藤先生の答えは「体格や体形で判断してよい」でした。例えば人工呼吸を行おうとして、自分の口で子どもの鼻と口をふさぐことができそうにない0歳児の場合、1歳以上の子どもと同じように口から呼吸を入れてあげれば大丈夫です。

 

速報でお伝えした心肺蘇生に関わるポイント、お答えします!

心肺蘇生は大きく気道確保、胸骨圧迫、人工呼吸から成り立っています。
「子どもの肺に入る分だけ、胸が少し上がるくらい」の呼吸を入れるためにはいくつかのポイントがありました。

Q: 救命処置の場合は、子どもの額にやさしく手をそえるのは、なぜ?
A: 子どもが自分自身で身体を支えられないような深刻な状態の場合、筋肉の力がぬけて、首が横に落ち、呼吸の通り道がふさがってしまうことを防ぐ(気道確保)ためです。 この気道確保、元気な子どもであれば何分もじっとできず動いてしまうので、子どもの呼吸がどの程度弱まっているかの判断や、熱性けいれんで呼吸が弱まっている時にも支えます。

Q: (乳児の場合)胸骨圧迫は指2本で行うが、気道確保の時に指1本の指先であごを持ちあげるのは、なぜ?
A: まず気道確保を行うことで、下あごの先にある舌が持ち上がって、呼吸の通り道が拡がる効果があります。しかし、乳児の場合、指2本であごを持ちあげようとすると、のど元の柔らかい部分が圧迫されることがあり、結果として呼吸の通り道をふさいでしまうためです。

Q: 0歳の乳児は口と鼻をふさいで人工呼吸するが、1歳以上の幼児は鼻をつまんで口から呼吸を入れるのは、なぜ?
A: 乳児は口よりも鼻のほうが呼吸が通りやすいと言われているため、口と鼻をふさいで鼻から息を吹き込む意識をもって人工呼吸します。1歳以上の幼児はこの限りではありません。

 

退院率70%と退院率10%の違い

遠藤先生の講義の最後は、_____していた状態で搬送されたときと、_____していない状態で搬送されたときの違いでした。
_____の答えは「心臓が止まっていた」です。
どんなに弱い状態の呼吸や心拍であっても、子どもの心臓が動いていた状態で病院に搬送された時は70%が退院できたのに対し、一度でも心臓が止まった状態で病院に搬送された時の退院率は10%まで下がってしまいます。
窒息であれば、たとえ命が助かっても脳に大きなダメージを残すことがあります。つまり、呼吸と心拍を維持することが窒息に限らず、子どもの事故に対してとても大切なことだということです。
繰り返しになりますが、気道確保や心肺蘇生などは子どもの呼吸が止まった時だけするものではなく、止まる前に弱っている時に行うことに大きな意味があります。
子どもの救急救命においては、窒息に限らず、脳を守るための呼吸に注目する必要があることを忘れないようにしましょう。

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