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「風疹」の500倍!?子どもに関わる全ての人に知って欲しい、先天性感染症の原因「サイトメガロウイルス」 とは(2)

2016.01.20

3分でわかる認定病児保育スペシャリスト

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サイトメガロウイルスをはじめとした様々な先天性感染症に関する啓発活動を行っている「トーチの会」渡邊智美さんと、当協会理事長・駒崎との対談を引き続きお送りします。

▶︎サイトメガロウイルスとは?という方はこちらをどうぞ。
「風疹」の500倍!?子どもに関わる全ての人に知って欲しい、先天性感染症の原因「サイトメガロウイルス」とは(1)

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先進国では抗体を持つ人が減少している。日本でも要注意!

駒崎:サイトメガロウイルスは抗体があれば、かなりの確率で防ぐことができると。では「ワクチンを打っておけば安心!」ということになりますか?

渡邊:それが残念ながら、サイトメガロウイルスにはワクチンがまだ有りません。そこが風疹とは大きく異なりますね。だから、感染する経路を知って自分で防ぐしか方法はありません。

さらに抗体を持っていれば、抗体を持っていない場合よりは安心できることはさきほど述べた通りなのですが、実は近年サイトメガロウイルスに対する抗体を持っている人の数が年々減少傾向にあります。

駒崎:抗体があればひとまずは安心なのに、抗体を持つ人そのものが減っていると。ゆゆしき事態ですね。

渡邊:そうなんです。さきほど、アメリカにおいて先天性サイトメガロウイルス感染症が子どもの長期後遺症を引き起こす原因として第1位であることには触れましたが、サイトメガロウイルスに対する抗体を持つ人の数はアメリカを含む「先進国」において一律に減少してきています。

なぜかというとサイトメガロウイルスは、実は子ども同士ではごく当たり前にうつしあっているウイルスなのですが、いわゆる先進国になればなるほど衛生環境が向上して、子ども同士が鼻水・よだれ・おしっこまみれで遊ぶということが減っているからではないかと考えられています。

そうすることにより子ども同士でうつし合う、つまり小さいうちに感染するという機会が減ることになってしまい、結果として抗体を持っている人がだんだんと減ってきてしまうということになります。

日本においても抗体を持っている人の数はますます減少してきているので、今後より一層の注意が必要とされてくると言うことができます。

子どもの尿や唾液が感染源。保育士の方は要注意!

第二弾(1)

駒崎:あればより安心であるはずの抗体を持っている人の数が減っている、ということになると重要になってくるのは個々人がしっかりと予防法を知った上で、自分自身の身を守るということになってきますね。

渡邊:その通りです。では次にサイトメガロウイルスの感染経路と、その予防についてお話しましょう。

最初に紹介させていただきたいのは、2015年に日本周産期新生児医学会という場で発表されたある症例です。この学会では、保育士の女性が先天性サイトメガロウイルス感染症の子どもを出産した事例が2例発表されました。

サイトメガロウイルスの感染経路は、子どもの尿や唾液による「接触感染」です。小さな子どもとのキスや、おむつ替え、食事介助の際などの場面で感染することが考えられます。

この2人の女性は家庭内での子どもとの接触、つまり上のお子さんがいるなどといったことはありませんでしたので、保育園での職務により感染した可能性がかなり濃厚だと見られています。

今、申し上げました通りサイトメガロウイルスの感染は小さな子どもとの接触により起こることがとても多いです。しかしこれまでは、集団保育の現場での感染のリスクというものがほとんど認識されてきませんでした。この事例は、保育士の方への啓発の重要性を示していると言うことができるでしょう。

感染経路

サイトメガロウイルスの感染経路

駒崎:ですが保育士のような職業でなくとも、小さな子どもとの接触はあり得ますよね?極端に言えば、街中を歩いているだけでも。

渡邊:もちろんそうなのですが、サイトメガロウイルスは咳や、くしゃみのような「しぶき」、つまり飛沫での感染は起こりません。もちろん、感染した人の傍にいるだけでうつるということもありません。

サイトメガロウイルスは、ウイルスが排泄されている唾液や尿への濃厚な接触があって初めて感染します。ですから、おむつ替えや食事介助などの世話をするお母さんや、保育士の方が特に注意であると言えます。

その他にもパートナーとの性交感染なども考えられますが、やはり重要なのは小さな子どもの唾液や尿です。

よって上のお子さんの子育てをしているお母さんや、保育士のように日常的に子どもと接する職業に就いている方が妊娠した場合、または妊娠を予想している場合は以下のようなことに注意しなくてはなりません。

1.おむつを替えた後、子どもに食事をさせた後、子どもの涎や鼻水を拭いた後、または子どものおもちゃを扱った後には、よく手を洗う。
2.子どもと飲食物や食器を共有しない。
3.子どものおしゃぶりをくわえない。
4.子どもと歯ブラシを共有しない。
5.子どもにキスをする際には、唾液に触れない。(口唇や頬は避け、おでこにする)
6.子どもの尿や唾液に汚染されたもの(例:タオル)や箇所はきれいにする
7.妊娠中の性行為はコンドームを使用する。

あとは、保育士の方だけでなく小児科や小児歯科など、子どもの唾液に触れる機会のある職業の方も注意しなくてはなりませんね。

駒崎:うわー、僕も普通に子どもの食べ残し食べてましたよ。「もったいない!」なんて言ったりして。やってしまいがちですね。でも妊婦さんの場合、それが実は要注意の行為なんですね。

でもこれって、知ってさえいれば防げることですよね。おむつ替えをした後に手を洗う、子どもと同じスプーンを使わない、といったことは意識さえしていれば可能ですし。

渡邊:そうなんです。だからこそ「啓発」という活動が最もコストが低く、かつ最も効果の高い予防法なんです。

駒崎:いやー、母親学級や父親学級などでもしっかり啓発した方がいいですね。僕も参加しましたけど、なんか重いもの持って「赤ちゃんはこのくらいの重さなんですよー」みたいなことしかやりませんでしたもん(笑)まあ、それもまた大切なことではあるんですけどね。

(つづく)

渡邊智美(わたなべともみ)さんのプロフィール

先天性トキソプラズマ&サイトメガロウイルス感染症患者会「トーチの会」代表・歯科医師

プロフィール写真

トーチの会(http://toxo-cmv.org/:TORCH症候群の中の「トキソプラズマ」と「サイトメガロウイルス」の先天性感染児を持つ親たちが中心となり2012年に立ち上げた患者の会。自分たちと同じようにつらい思いをする母子をなくしたいという思いで、会員同士の交流や認知普及、社会への提案などの活動をしている。

トーチ(TORCH)症候群:妊娠中の感染によって胎児に奇形または重篤な母子感染症を引き起こす恐れのある疾患の総称であり、以下の頭文字をとったもの。トキソプラズマ原虫(Toxoplasma gondii)、その他:梅毒スピロヘータやエンテロウイルスなど(Others)、風疹ウイルス(Rubella virus)、サイトメガロウイルス(Cytomegalovirus)、単純ヘルペスウイルス(Herpes simplexvirus)

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