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【最終回】「風疹」の500倍!?子どもに関わる全ての人に知って欲しい、先天性感染症の原因「サイトメガロウイルス」 とは(3)

2016.01.27

3分でわかる認定病児保育スペシャリスト

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サイトメガロウイルスをはじめとした様々な先天性感染症に関する啓発活動を行っている「トーチの会」渡邊智美さんと、当協会理事長・駒崎との対談を引き続きお送りします。

▶︎サイトメガロウイルスとは?という方はこちらをどうぞ。
「風疹」の500倍!?子どもに関わる全ての人に知って欲しい、先天性感染症の原因「サイトメガロウイルス」とは(1)
「風疹」の500倍!?子どもに関わる全ての人に知って欲しい、先天性感染症の原因「サイトメガロウイルス」とは(2)

ポイント

 

「さまざまな『知らない』の壁に阻まれている」

駒崎:サイトメガロウイルスがその感染経路などを「知って」さえいれば、簡単に予防できる可能性があることが分かりました。

すると少し話を戻してしまって申し訳ないのですが、とりあえずは妊婦検診の血液検査で抗体があるかどうか調べられればいいのに、と思うのですが。

抗体の有無で感染リスクが150倍も異なるのであれば、自分に抗体が有るか無いかを知ることはとっても大切なことですよね?実際、風疹は妊娠初期に検査をしますし。

渡邊:その通りです。ですが、サイトメガロウイルスの抗体検査に関しては妊婦検診に含まれていないのが現状です。

駒崎:それはなぜなんですかね?

渡邊:母体が感染したからといって必ず胎児にまで感染してしまうとは限りませんし、また先ほども申し上げました通り、たとえ胎児に感染したからと言って必ず障害が起こるわけではないため、医師の方々にしてみればイタズラに不安にさせたくないという気持ちがあるみたいです。

あくまで抗体検査は母体に抗体があるかないかがわかるだけで、陽性だったとしても妊娠中に感染したのか妊娠する前に感染したのかは判断できないものですし。

駒崎:たしかに。「陽性=障害児」と思い込んで、堕胎に繋がってしまうケースもありそうですね。

渡邊:あと、なかには「稀で珍しい病気だ」と勘違いしてしまっている医師の方も少なくないので、せっかく検査をお願いしてみたところで「やる必要がない」と一蹴されてしまうケースもあるみたいです。

とはいえ、本当はやっぱり検査をすることをおすすめしたいです。自分に抗体が無いということが分かれば、気をつけることができます。もし検査の結果、妊娠中の感染が疑われることになったとすれば生まれた後の早期発見に繋げることもでき、必要のある子どもには条件によっては抗ウイルス療法を行ったり、早期からのリハビリを行ったりすることで聴力や発達の見通しの改善が期待できるからです。

ご自身の抗体の有無以外にも妊婦さんたちはサイトメガロウイルスに関して、さまざまな「知らない」の壁に阻まれていると言うことができます。

まず「サイトメガロウイルスそのものを知らない」という壁。さらに「このウイルスにかかったことがあるかどうか、つまり自分が抗体を持っているかどうかを知らない」、また「自分が感染することで胎児に感染する恐れがあるということを知らない」「もし胎児が感染したら、どんな障害が起こる可能性があるのかということを知らない」といったことなどです。

加えて今回の駒崎さんがそうだったように感染経路、そしてその予防の方法を知ってさえいれば防げるかもしれないものであるにもかかわらず、そのことを「知らない」という壁もあります。私たちはなんとかしてこうした壁を打破できないか、と思いながら啓発活動を続けています。

駒崎:なるほど。まずは「知る」ことが非常に大切ですね。僕自身も渡邊さんのおかげで、今日1日でサイトメガロウイルスのことに関して多くのことを学ぶことができています。

 

予防、また誤解や偏見を避けるために周囲の人々も理解を

11ヶ条

駒崎:サイトメガロウイルスのこと、大変勉強になりました。これまで妊婦の方、つまり本人がどういうことを知っていればよいのか、そしてどう気をつければよいのか、ということを伺ってきましたが、僕のような本人以外の周囲の人たちにとって、何かできることはあるのでしょうか?

渡邊:予防の大切さや、予防方法を妊婦さんだけが知っていても上手くいきません。夫やその他の身内の方々、周囲の人々もそれを理解していなければ、妊婦さんは十分な予防策を取ることができないからです。

サイトメガロウイルスを含め、その他の母子感染症を防ぐ方法を、私たちは11か条の注意事項としてまとめていますけれど、それもまた、周囲が同じように理解してくれていないと、なかなか守れない部分があります。

また、正しい知識を全ての人が持っていなければ、さまざまな誤解から感染したお子さんやそのお母さんに対する過剰な反応を引き起こしてしまいます。

駒崎:といいますと?

渡邊:そうですね、サイトメガロウイルスに胎内感染したお子さんが保育園に入園することを拒否されてしまったり、許可してもらった場合でも他の子どもから隔離されてしまったりすることがあります。でも、これって本当にナンセンスなことなんです。

だって、どこの保育園に行っても、その園の元気いっぱいの子ども達の唾液や尿を調べると、このウイルスは普通に存在しているのですから。

何度も申し上げている通り、このウイルスは得体の知れない珍しいウイルスではなく、小さい子どものいるところであれば、ごくごく普通にみられるウイルスだということを、もっともっと知ってもらいたいです。

駒崎:そうですよね。子どもたちは日々お互いにうつし合っているものですし、成人であれば多くの人が感染した経験も持っている。問題となりやすいのは「妊娠中に」「初めて」感染する場合ですもんね。

では、保育園側では感染児に対して、特に対応はいらないということですね?

渡邊:はい、そうです。もし保護者に妊娠中の方がいたとしても、ご自身で日々の生活の中で感染しないように予防してもらうしか無いのです。

ただ、保育士自身が妊婦だった場合は、配置について少し気をつけてあげて欲しいかな、とは思います。

やはり、乳児のほうがウイルスを排出している事が多いので、できる限り年長の担当にしてあげたほうが安心ではあります。やはり保育士という職業は、サイトメガロウイルス感染のリスクが高く、保育士の4〜5人に1人が毎年感染しているというアメリカ・カナダの報告があるくらいですから。

それから、先天性サイトメガロウイルス感染症の子どもが入園してきた場合ですが、前述したとおり、あとになってわかってくる障害もあるので、そうした面に関しては少し注意を払ってあげてほしいなと思います。早期発見、早期治療、早期介入によって障害の程度が軽くなることもありますから。

 

「同じように辛い思いをする母子をなくしたい」とにかく「知る」ことが大切

第三弾(1)

駒崎:渡邊さんご自身も、先天性トキソプラズマ感染症の当事者として母子感染症の啓発活動にあたっておられます。

渡邊:私は2012年に長女を出産したのですが、長女がトキソプラズマの先天感染を持って産まれました。

トキソプラズマは、妊娠中に生肉などを食べてしまうことで感染する可能性があります。私は妊娠中、一度だけユッケを食べたことにより感染してしまったのではないかと考えています。

このことも、サイトメガロウイルスと同様、知っていさえすれば防げたことです。生肉を食べることで感染のリスクがあることを当時私も知っていれば、絶対にユッケを食べたりはしませんでしたからね。

ですので、まずはウイルスのこと、それが子どもにどう影響を与えるのかということ、どうすれば予防することができるのかということを知ってもらえればと思います。

「同じように辛い思いをする母子をなくしたい」そんな思いで活動を続けています。この記事を一人でも多くの方に届けることができれば幸いです。

本日はどうもありがとうございました。

駒崎:こちらこそ、ありがとうございました。本当に「知る」ことが大切だと痛感しましたので、僕自身も至るところで情報を伝えていければと思います。
(了)

 

渡邊智美(わたなべともみ)さんのプロフィール

先天性トキソプラズマ&サイトメガロウイルス感染症患者会「トーチの会」代表・歯科医師

プロフィール写真
トーチの会(http://toxo-cmv.org/:TORCH症候群の中の「トキソプラズマ」と「サイトメガロウイルス」の先天性感染児を持つ親たちが中心となり2012年に立ち上げた患者の会。自分たちと同じようにつらい思いをする母子をなくしたいという思いで、会員同士の交流や認知普及、社会への提案などの活動をしている。

トーチ(TORCH)症候群:妊娠中の感染によって胎児に奇形または重篤な母子感染症を引き起こす恐れのある疾患の総称であり、以下の頭文字をとったもの。トキソプラズマ原虫(Toxoplasma gondii)、その他:梅毒スピロヘータやエンテロウイルスなど(Others)、風疹ウイルス(Rubella virus)、サイトメガロウイルス(Cytomegalovirus)、単純ヘルペスウイルス(Herpes simplex virus)

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