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風邪かな?と思ったら要注意!乳児に感染させてはいけない「RSウイルス感染症」

2016.10.14

3分でわかる認定病児保育スペシャリスト

今回のテーマは秋から冬にかけて流行する「RSウイルス感染症」です。

国立感染症研究所によると、9月18日までの1週間に新たに報告されたRSウイルスの患者は4,558人にのぼり、この時期としては、過去10年で最多となりました。年齢別では1歳以下の報告数が全体の約74%を占めています。

RSウイルス感染症は他の代表的な感染症に比べてあまり知られていませんが、
病児保育をお仕事にされている方、保育園にお勤めの方、そして子どもに関わる大人たちは絶対に知っておかなければなりません。

 

~この記事の目次~
●RSウイルス感染症の流行パターン

●乳児の場合悪化することも 大人の理解が必要です
●RSウイルス感染症の特徴
●RSウイルス感染症の症状
●RSウイルス感染症の潜伏期間
●RSウイルス感染症の感染経路
●RSウイルス感染症の予防
●RSウイルス感染症の感染期間
●RSウイルス感染症の治療法
●保育園で気を付けること

 

RSウイルス感染症の流行パターン

rsvirus16-4

(引用:国立感染症研究所 感染症発症動向調査 第38週より)

 

RSウイルス感染症は、秋~冬場に流行する感染症です。通常ですと、秋から増加し12月頃にピークを迎え、年明けは徐々に減少し3月ころに落ち着く、という流行パターンを呈します。

ここ数年は早い時期からRSウイルスの検査が行われるようになり、8月・9月の時点で多くの感染が報告されています。

 

乳児の場合、重症化することも。大人の理解が必要です

RSウイルス感染症の特徴は、大人に感染しても軽い症状で済みますが、赤ちゃんに感染すると重症化してしまうことです。1歳未満の乳児の場合、インフルエンザよりも死亡数が多いというデータもあります。


またRSウイルス感染症は風邪と症状が非常に似ているので、大人は乳児にうつしてしまわないようしっかりと特徴を理解し、細心の注意を払わなくてはならないのです。咳や痰、鼻水といった症状がみられた場合は、自己判断で風邪と決めず、早めに医師に相談してください。

 

RSウイルス感染症の特徴

RSウイルスのRSとは「Respiratory Syncytial(=呼吸器の合胞体)」の略です。

生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の子どもがRSウイルスに少なくとも1度は感染すると言われています。症状は、軽い風邪のような症状から重い肺炎までさまざまです。 また、初めて感染発症した場合は重くなりやすく、乳期、特に乳児期早期(生後数週間~数カ月間)にRSウイルスに初感染した場合は、細気管支炎、肺炎といった重篤な症状を引き起こすことがあります。

さらには、低出生体重児や先天性心疾患、慢性肺疾患、免疫不全などを持つハイリスク児は要注意です。 よって、乳児期早期(生後数週間~数カ月間)のお子さんがいらっしゃる場合には、感染しないよう、周りの大人たちには知識が求められます。

 

RSウイルス感染症の症状

乾いた咳が見られます。発熱、鼻水が数日続き、多くは軽症で済みます。熱は、乳児の場合は38℃台が多く、39℃以上の高熱はむしろまれです。

しかし繰り返し述べているように重症化のケースが見られます。7割が通常のかぜのような症状で済み、3割が「呼吸が浅くなる」「ゼーゼーする」「痰がつまる」「呼吸数が増える(1分間に60回)」「眠れない」などの症状が現れ、場合によっては細気管支炎・肺炎となります。さらには、生後1ヶ月未満児の場合、診断が困難な場合があり、突然死に繋がる無呼吸発作にも繋がります

生涯にわたって何度も感染し、幼児期に再感染がよく見られますが、多くは軽症で済むため、RSウイルスだと気が付かないことが多々あります。

 

RSウイルス感染症の潜伏期間

2~8日(主に4~6日)

 

RSウイルス感染症の感染経路

飛沫感染、接触感染が主です。麻疹や水痘、結核のような空気感染はありません。

 

RSウイルス感染症の予防

ワクチンはありません
以下の新生児,乳児および幼児では、シナジスという予防薬(抗RSウイルスヒト化モノクローナル抗体)を月に1回注射することでRSウイルス感染による重篤な下気道疾患の発症を抑制します。

RSウイルス感染流行初期において
• 在胎期間28週以下の早産で、12ヵ月齢以下の新生児及び乳児
• 在胎期間29週~35週の早産で、6ヵ月齢以下の新生児及び乳児
• 過去6ヵ月以内に気管支肺異形成症(BPD)の治療を受けた24ヵ月齢以下の新生児、乳児及び幼児
• 24ヵ月齢以下の血行動態に異常のある先天性心疾患(CHD)の新生児、乳児及び幼児
• 24ヵ月齢以下の免疫不全を伴う新生児、乳児及び幼児
• 24ヵ月齢以下のダウン症候群の新生児、乳児及び幼児

シナジスは高額で、1回の注射にかかる費用が8〜25万程度(体重により使用量が異なるため)かかりますが、健康保険が適用されます。また、乳児医療証が適用される場合もあります。
ほか、上述の通り飛沫感染と接触感染が感染経路であるため、マスクの着用や手洗い・うがいの徹底が重要となります。また、日常的に手に触れるおもちゃやドアノブ、手すりなどはこまめにアルコール消毒を行いましょう。2歳を過ぎた子どもや大人が感染しても、症状が軽いためにRSウイルスだと気が付かないことがあります。

ですので予防のためには、
・自分自身が風邪かな?と思う時
・兄弟姉妹のうち上の子が風邪のような症状の時
乳児にはなるべく近づかない、近づかせないようにしましょう。

 

RSウイルス感染症の感染期間

ウイルス排泄期間は7~21日と長いため、感染が広がりやすいです。

 

RSウイルス感染症の治療法

特効薬はありません。対症療法が重要になります。
咳や発熱などの辛さを和らげてあげましょう。 水分補給も重要となります。

 

保育園で気を付けること

保育風景

 

保育園では多くのお子さんを同時にお預かりしていますよね。また、子どもを預けている保護者の方への支援は保育者の役割の一つです。こういった観点から、保育園では感染が広まらないよう、また園児の重症化を未然に防ぐよう、RSウイルス感染症が疑われる子どもの保護者の方に受診を勧めることが大切です。

そのためには保育士の方もしっかりと感染症の知識を持ち、保護者の方に伝えることができることが大事になってきます。また、非常に感染力が強いので、流行期間中の密な接触(子どもたちをホールに集めての保育、行事など)は控えましょう。

 

いかがでしたでしょうか。RSウイルス感染症を理解しておくことの重要性が伝わったかと思います。
もう一度ポイントをおさらいしておきます。

  1. RSウイルスは乳児(1歳未満の赤ちゃん)が感染すると重症化する恐れがある
  2. 2歳以上児や大人が感染しても風邪のような軽症でRSウイルスと気が付かずに乳児にうつしてしまうことがあるので、乳児だけではなく保育園の年中以上児や大人も感染には気を付けなければいけない

 

このように、感染症に関する知識は医師や看護師など医療関係者のみが持っていればよいものではありません。保育士や保護者、子どもに関わるすべての大人が持っていなければならないのです。

 

今回の記事は、

*2012年改訂版「保育所における感染症ガイドライン」(厚生労働省)
*「学校、幼稚園、保育所において予防すべき感染症の解説」(日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員)
*厚生労働省RSウイルス感染症Q&A(平成26年12月26日)
*日本小児感染症学会/免疫不全およびダウン症候群におけるパリビズマブ使用の手引き
*アッヴィ合同会社/医薬品インタビューフォーム

などをもとに当協会が作成し、ナビタスクリニック立川院長で内科医の久住英二先生にご指導いただき作成した2013年版の記事をリライトしたものです。

 

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