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風疹 ~大人にも予防のためのアクションが求められる感染症~

2014.12.12

3分でわかる認定病児保育スペシャリスト

風疹_141212

風疹と聞くと、「うちの子どもは予防接種をすませているから大丈夫!」という方が多いのではないでしょうか?
実は、今年2014年の風疹発生動向調査の報告数(国立感染症研究所)では、20歳以上の大人の発症が7割近くを占めています。
特に20代から40代までの方は要注意です。
さらに「子どもの頃に風疹にかかったことがある」と記憶をお持ちの方の半数は、実は風疹の免疫ができていなかったというデータもあります。
この記事では、風疹の感染経路、症状、ケアといった知識とともに、なぜ風疹は大人の発症が多くなっているのか、なぜ大人にも風疹の予防のためのアクションが求められているのかについてもご紹介していきます。

 

風疹とは?

発熱、発しん、リンパ節腫脹を特徴とするウイルス性発疹症です。

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風疹の特徴(ポイント)

風疹の特徴(ポイント)は4つあります。

・近年は子どもだけでなく、大人(特に20代~40代)での発症がみられます。
大人の場合、発熱、発しん、リンパ節膨脹の特徴のほかに、関節痛を伴うことがあります。

・ 風疹ウイルスに感染しても、50~90%の方は症状が出ずに済んでしまう、不顕性(ふけんせい)感染を起こします。
ただし、不顕性感染の方からも、くしゃみや咳などで飛び散った唾などによって「飛まつ感染」するため、風疹ウイルスに感染した人が知らないうちに、同居の家族や職場などの周囲の方に風疹ウイルスをうつしてしまう可能性があります。

・子どもは「麻しん風しん混合(MR)ワクチン」を用いて、第1期(1歳児)、第2期(小学校就学前の1年間)の2回接種で予防します。

妊婦が風疹ウイルスに感染すると、赤ちゃんが「先天性風しん症候群」(先天性心疾患、難聴などの先天異常の子どもが生まれる)を発症する恐れがあります。その確率は妊娠初期ほど高く、妊娠1ヶ月では50%以上、2ヶ月で35%以上、3ヶ月で18%、4ヶ月で8%というデータがあります。
赤ちゃんは免疫をつけることができませんから、大人に予防のためのアクションが求められる感染症なのです。
先天性風疹症候群啓発ポスター

写真出典:厚生労働省 風しんの感染予防の普及・啓発事業
ポスター  妊娠1ヵ月で50%以上(平成26年度作成)

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風疹の流行時期

春先から初夏にかけてです。

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風疹の潜伏期間

病原体は風疹ウイルスです。潜伏期間は2~3週間(平均16~18日)です。
風疹ウイルスの電子顕微鏡写真

風疹ウイルスの電子顕微鏡写真
写真出典:国立感染症研究所

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風疹の感染経路

くしゃみや咳などで飛び散った唾による「飛まつ感染」です。
風しんウイルスの感染力は、1人の患者から免疫がない5〜7人に感染させる可能性があります。麻疹(はしか)や水痘(水ぼうそう)ほどは強くありませんが、インフルエンザの1~2人に比べると、はるかに高いといえます。
発しんの出る2-3日前から発しんが出たあとの5日間くらいまでの患者は感染力があるといわれています。

なお、風疹ウイルスに感染しても明らかな症状が出ずに、風疹に対する免疫ができてしまう人(不顕性(ふけんせい)感染)が50~90%もいます。1人の患者から免疫がない7~9人に感染させる可能性がありますから、風疹を発症した人のまわりに、感染してウイルスをばら撒いているけれど、気づいていない人が相当数いることになります。このため、発病した人だけを隔離しても、職場や学校など集団生活の場で流行することは食い止めることができません。

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風疹にかかりやすい年齢

従来は、集団生活にはいる1-9歳ころ(1-4歳児と小学校の低学年)に多くみられましたが、近年は多くが大人(特に20代~40代)となっています。

年齢群別風しん累積報告数割合(2014年第48週)

なぜ20~40代にみられるのかは、のちほど風疹の予防(大人編)で詳しくお話しします。

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風疹の症状

発熱、発しん、リンパ節腫脹が3大特徴です。
発熱の程度は一般に軽い(37℃~38℃くらい)といわれています。
(症状が出るのは患者の半数にみられる程度という見方もあります)
発しんは淡紅色で小さく、皮膚面よりやや隆起しています。顔面から始まり、頭部、体幹、四股と全身に広がり、約3日で消えていきます。
発しんの出るタイミングは麻しん(はしか)とは異なり、発熱と同時、もしくは翌日からのことが多いです。
(麻しん(はしか)の場合は発熱から3~4日後に発しんが出現します。)

風疹による発疹

風疹による発疹  写真出典:国立感染症研究所

 

リンパ節腫脹は有痛性で頸部、耳介後部、後頭部に出現します。発しんの表れる数日前より出現し、3~6週間持続します。

リンパ節膨脹
耳介後部リンパ節の腫脹が見られる  写真出典:国立感染症研究所

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風疹の治療法

特別な治療法はなく、つらい症状を軽減するための処置(対症療法)が行われます。
まれに血小板減少性紫斑病(出血を止める働きのある血小板が減少するため、皮膚や粘膜等の目に見えるところに、出血症状、紫斑、青アザがみられます)、脳炎を合併することがあります。成人が発症すると、子どもに比べ関節痛を伴うことがあります。

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風疹の感染期間(いつから学校や保育園・幼稚園に行けるの?)

発しんが消失するまでです。
発しんが出たあとの5日間くらいまでの患者は、感染力があるといわれています。

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学校・保育園・幼稚園で気をつけること

・入園前に、ワクチン接種歴、麻しん既往歴を母子健康手帳で確認し、1歳以上の未接種、未罹患児にはワクチン接種を勧奨します。入園後にワクチン接種状況を再度確認し、未接種であれば、ワクチン接種を勧奨しましょう。

・入園後も予防接種履歴を定期的に確認し、定期接種の対象であるにも関わらず決められた回数の予防接種を受けていない場合には、保護者に向けて積極的に接種を勧奨する姿勢が大切です。

・また、妊娠初期の妊婦が風疹に感染すると、赤ちゃんが「先天性風しん症候群」(先天性心疾患、難聴などの先天異常の子どもが生まれる)を発症する可能性があります。このため保育園・幼稚園で1人でも発生した場合は、送迎時に大人にも注意を促しましょう。

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風疹の予防(子ども編)

麻しん(はしか)の記事でも「1歳のお誕生日にMRワクチンを!」という標語をご紹介しましたが、このMRワクチンは麻しんと風疹の混合ワクチンです。
日本における定期予防接種は、2006年度から原則として「麻しん風しん混合(MR)ワクチン」を用いて、第1期(1歳児)、第2期(小学校就学前の1年間)の2回接種を実施しています。
ワクチンを1回接種することで95%以上の人が風しんウイルスに対する免疫を獲得することができるといわれています。また、2回目の接種で1回目の接種では免疫がつかなかった5%未満の人に免疫をつけることができます。さらに接種後、年数の経過とともに、免疫が低下してきた人に対して、2回目のワクチンを受けることで免疫を増強させる効果があります。

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風疹に1度感染すると、2度とかかることはないのか?

一度、自然に風疹に感染すると、多くの人は生涯にわたる免疫をつけることができ、風疹にかかることはないといわれています。風疹ワクチン(予防接種)を受けることでもこの免疫はつけることができます。

一方で、子どものころに風疹にかかったことがあると答えた大人の血液検査をしたところ、「約半数が実際には風疹にかかってはいなかった」という調査結果があります。

以前は医師が症状だけで風疹と診断するケースがあったため、本当は違う病気(「りんご病」や「溶連菌感染症」など発しんが出る感染症)だったにも関わらず、風疹と診断されていたことがありえるのです。こういった診断の間違いによって、風疹にかかったという記憶だけが残っていることがあります。

「昔(子どものころに)、風疹にかかったから大丈夫」という『思い込み』にはご注意ください。
血液検査で風疹に対する抗体値の変化が確認できてはじめて、風疹に対する免疫を持っていると診断できるのです。

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 風疹の予防(大人編)

厚生労働省のホームページに掲載されている下記の表にみられるとおり、生まれた年で今までの風しんワクチン接種の機会(回数)が異なっています。

風疹ワクチン接種状況チェック

 

かかりやすい年齢で触れた20代~40代で多くの発症がみられるのは、自然に風疹に感染しておらず、風しんワクチンの接種率も低いため、免疫のない人が多い世代であるからです。この世代は同時に子育て世代ですから、「先天性風しん症候群」の発生をなくすためのアクションが強く求められる世代でもあります。

何度も強調していますが、風疹ウイルスに感染しても明らかな症状が出ない人が、知らないうちに、同居の家族や職場などの周囲の方に風疹ウイルスをうつしてしまう可能性がありますす。
風疹の症状が出なければよいのではなく、免疫を持ち周囲の方に風疹ウイルスをうつさない状態であることが大切なのです。

 

女性の場合、接種後2ヶ月は妊娠を避けるなどの注意が必要です。また妊娠中は風疹の予防接種を受けることはできません。
大人が風疹の予防接種を受けたいと思ったら、まずお近くの小児科医に相談することをお勧めします(内科医は風疹のワクチンを常備していない場合がありますので、大人であっても小児科医に相談すると良いでしょう)。最寄りの保健所や、地域の医師会に問い合わせるのもよいでしょう。

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日本病児保育協会では、定期的に感染症の記事を発信しています。記事の更新はメールニュース等でお伝えしています。

病児保育 感染症情報 メール

 

 

この記事は
国立感染症研究所ホームページ
風疹Q&A(2012年改訂) 、 風疹発生動向調査 、 風疹予防接種に関するガイドライン
厚生労働省ホームページ
風しんの感染予防の普及・啓発事業 、 2012年度改訂版 保育所における感染症対策ガイドライン
などをもとに当協会が作成し、医療法人社団鉄医会の理事長で内科医の久住英二先生にご指導いただきました。

▼久住英二先生のプロフィールはこちら

2008年にJR立川駅の「エキュート」内にナビタスクリニックを開院。「駅徒歩0分のお医者さん」のナビタスクリニックは現在、川崎・東中野の駅ナカにも展開。All About や THE HUFFINGTONPOST にもチャンネルを持ち、専門分野での情報提供にも精力的に取り組まれていらっしゃいます。当協会の認定病児保育スペシャリスト公式テキストも監修いただいています。

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