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「風疹」の500倍!?子どもに関わる全ての人に知って欲しい、先天性感染症の原因「サイトメガロウイルス」とは(1)

2016.01.15

3分でわかる認定病児保育スペシャリスト

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妊娠中の母親に感染したウイルスや細菌、寄生虫などが胎盤を通じて胎児にも感染してしまい、赤ちゃんに何らかの障害を引き起こす「先天性感染症」。この「先天性感染症」という言葉を聞いた時、あなたはまず、何を思い浮かべるでしょうか?

2012〜13年に風疹が大流行した際、45人もの赤ちゃんの感染が診断され話題になった「先天性風疹症候群」も先天性感染症の一つです。

今、同じく先天性感染症を引き起こす原因の一つである「サイトメガロウイルス」が注目されています。なぜなら、このウイルスは驚くほど私たちにとって身近な存在だからです。私たちがよく知っている風疹よりもはるかに、です。さらにこのサイトメガロウイルス、実は「保育士」にとって特に注意が必要です。

本記事では、そんなサイトメガロウイルスやその他の主要な先天性感染症に関する啓発活動を行っている「トーチの会」代表・渡邊智美さんと、当協会理事長・駒崎との対談をお送りします。

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「風疹」よりも身近な、「ダウン症」と同じくらい頻度の高い「サイトメガロウイルス」

第一弾(1)

駒崎:こんにちは。今日はよろしくお願いします。

渡邊:こんにちは。こちらこそ、よろしくお願いします。

駒崎:僕自身、保育に関わることを仕事にしていますし、プライベートでも子どもが2人いるので、先天性感染症については多少知るところもあったんですけれども、サイトメガロウイルス、これは恥ずかしながら初めて知りました。それにしても、なかなかオドロオドロしい名前ですね・・・。

渡邊:そうですね、耳慣れない上に少しビクっとしてしまうような名前のために、みなさん必要以上に身構えてしまうこともあります。実際、医療関係者であっても、そう頻繁には聞かない名前でしょうから、一般の方が知らないのも無理はありません。

まず、近年話題になった「風疹」。大流行した2012〜13年にかけて、45人の赤ちゃんが「先天性風疹症候群」と診断されましたが、実はこれは例外的な数字です。風疹は、流行していない年では、年間0〜2人が診断される程度なんです。

一方でサイトメガロウイルスは、実に年間3000人もの赤ちゃんが先天感染をした状態で生まれてきていると見られています。感染した全ての赤ちゃんに症状が出るというわけではなく、そのうち実際に症状が出るのは、3分の1ほどですが。

駒崎:3000人の3分の1ということは、1000人ですか・・・なかなか衝撃的な数字ですね・・・あの風疹の500倍じゃないですか。

でも、ちょっと待ってください。じゃあなぜ、サイトメガロウイルスは風疹と比べて全然知られていないんですかね?

渡邊:実は、先天性のサイトメガロウイルス感染症の患者数に関しては、届出の義務がないために、実態が把握されていません。1000人という数字も、感染頻度から逆算するとそのくらいの患者がいるはずだ、と推測したものです。

また、医療関係者が患者さんを目の前にしても、それと気がつかず見過ごされているために、実際よりも患者数が少なく報告されているという側面もあります。さきほども申しました通り、感染してもそのうち症状が出るのは約3分の1ほどですし、また生まれてすぐには症状が出ず、その時点では数にカウントされないものの、後になって症状が出てくるというケースもあります。

結果、サイトメガロウイルスの報告件数は年間50件と、推測数である1000件とは大きくかけ離れた数字となってしまっており、それもあってかこれまであまり注目されてこなかったというわけです。本当は私たちがよく知っている「ダウン症」の赤ちゃんと同じくらいの確率なんですけどね。

※発生頻度:先天性CMV感染1/300、先天性CMV感染(症候性)1/1000、ダウン症(35歳)1/300、ダウン症(全体)1/100

アメリカではすでに注目されていて、子どもに長期後遺症を引き起こす原因として先天性サイトメガロウイルス感染症が第1位となっています。

駒崎:なるほど。これは知っておかなくてはいけないですね・・・風疹よりもはるかに多く、ダウン症と同じとは・・・。

「難聴」の原因となるサイトメガロウイルスは、主に「妊娠中に」「初めて」感染した場合に問題となる

第二弾(2)

駒崎:サイトメガロウイルスが、いかに私たちにとって身近なものであるかということが分かったところで、次にサイトメガロウイルスの先天感染がどのような症状を引き起こすのか教えていただけますでしょうか。

渡邊:はい。サイトメガロウイルスは、実は健康な人であれば感染してもほとんどの場合、症状はありません。妊婦さんが感染しても、本人は症状が出ない場合がほとんどです。

さらに、ウイルスそのものも珍しいものではありません。ヘルペスウイルスの一種で、仲間には口唇ヘルペスを起こすウイルス(単純ヘルペスウイルス)、水ぼうそうを起こすウイルス(水痘帯状疱疹ウイルス)、小さい子どもの突発性発疹症を起こすウイルス(ヒトヘルペスウイルス6型)などが含まれていて、どれも身近なウイルスばかりです。

その証拠に日本では成人の60〜90%、妊娠可能年齢の女性では60〜70%が過去にサイトメガロウイルスに感染したことがあるといわれています。多くの子どもがこのウイルスを持っており、日常的にお互いうつし合ってもいます。

駒崎:半数以上が感染した経験を持ち、しかも感染しても症状は出ず、何ら問題は無いと。これは意外ですね。ますます身近なものに感じられてきました。では、どのような場合にサイトメガロウイルスは問題になるのでしょうか。

渡邊:それは、妊婦さんから胎児へと感染が及んだ場合です。その場合、流産や死産となることもありますし、赤ちゃんに何らかの障害が生じることもあります。なかでも多いのは難聴ですが、その他にも発達の遅れ、脳性麻痺、てんかん、自閉症、目の障害など、さまざまな症状が見られることがあります。

駒崎:胎児が感染すると大変、ということですね。そうすると、すべての妊婦さんはサイトメガロウイルスに気をつけた方がいい、ということになりますか?

渡邊:いえ、その点もよく誤解されることがあるのですが、そういうことではありません。

実は、妊娠前からサイトメガロウイルスに免疫を持っていれば、つまり、このウイルスに対する抗体を持っていれば妊娠中に感染する可能性はとても低くなります。

もちろん、それで100%大丈夫というわけではありませんが、抗体を持っていれば胎児への感染は150分の1にまで減らすことができます。風疹と同じように考えていただけると想像しやすいかもしれません。

ですので、それまで感染した経験がなく、抗体を持っていない人が「妊娠中に」「初めて」感染する、という限定的な場合に問題となってくるということを覚えていただければと思います。

駒崎:「妊娠中に」「初めて」がキーワードですね。よく覚えておきます。

でも、今までの話をまとめてみるとサイトメガロウイルスはかなり一般的なものであり、多くの人が抗体を持っていて、かつ、抗体を持っていればかなりの確率で防ぐことができるということですよね?じゃあ、サイトメガロウイルスって一体なにがそんなに問題なんだろうか、と素人同然の僕としては思ってしまうのですが・・・。

(つづく) ※次回は1/20(水)に掲載予定です!

渡邊智美(わたなべともみ)さんのプロフィール

先天性トキソプラズマ&サイトメガロウイルス感染症患者会「トーチの会」代表・歯科医師

プロフィール写真

トーチの会(http://toxo-cmv.org/:TORCH症候群の中の「トキソプラズマ」と「サイトメガロウイルス」の先天性感染児を持つ親たちが中心となり2012年に立ち上げた患者の会。自分たちと同じようにつらい思いをする母子をなくしたいという思いで、会員同士の交流や認知普及、社会への提案などの活動をしている。

トーチ(TORCH)症候群:妊娠中の感染によって胎児に奇形または重篤な母子感染症を引き起こす恐れのある疾患の総称であり、以下の頭文字をとったもの。トキソプラズマ原虫(Toxoplasma gondii)、その他:梅毒スピロヘータやエンテロウイルスなど(Others)、風疹ウイルス(Rubella virus)、サイトメガロウイルス(Cytomegalovirus)、単純ヘルペスウイルス(Herpes simplexvirus)

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