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突撃★隣の病児保育【番外編】 病児デイケア ままのて

2017.08.17

前回、お話をお聞きした福井県越前市『病児デイケア ままのて』を運営する野尻病院は、病児保育室のほかに複合型デイサービス『てまり』を併設しています。さらに昨年2016年からは『みんなの食堂』という新しい試みもスタートされているとか。

病院が病児保育室の他に運営している複合デイサービス事業とは?
前回に引き続き、野尻富美 事務局長にお聞きしました。

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子どもたちが地域の場で暮らしていることを実感できる場として

ーこちらの玄関にある看板に複合型デイサービス『てまり』(学童保育や一時預かり)とあったのですが、病児保育室の他にそちらの運営もされているのですか?
運営を始められた経緯を教えていただけますか。

はい、『てまり』は2008年からひとつの建物内で、高齢者対象のデイサービス障がい児対象のデイサービス小学生対象の学童保育子供の一時預かりを行っています。

2004年に病児保育室(『病児デイケア ままのて』)を始めた時に、障がいのあるお子さんを持つご家庭から何件かお問い合わせがありました。
養護学校から帰宅後の放課後、夏休みなどの長期のお休みの時に預け先がなくて困っているというのです。

ちょうどその頃は高齢者の制度が整って来た時期で、病院を利用されているお年寄りからもデイケア・デイサービスの要望があったり、小学校4年生以上の学童保育がなかったり、外来に来た小さいお子さんを連れたご両親が点滴や用事をすますのに(子どもの預け先がなくて)困っている様子を見ることもあり、それなら全部の要望を解決する場所、皆が一緒に入れる場所作りをできないか?を考えました。
それまで医療法人が学童保育を運営している所はなく、4年生以上の学童も制度としてはなかったのですが、(越前)市と相談して実現していきました。市の方でも1年毎に学童保育の年齢上限を伸ばし、今では市の学童保育は6年生までが対象となっています。

高齢者は曜日が決まっている方が定期的に来所します。学童も登録制で、毎日下校後通ってきます。障害のあるお子さんも養護学校が終わってからの利用です。
『ままのて』と違って決まったメンバーが利用しています。

 

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ー多様な利用者が一つの空間で過ごすことで、何かプラスなことはありますか?

自分の家のように「ただいま」と帰ってきたら「おかえり」といつもいるメンバーが声をかけてくれて、そこに障害のある子がいたり、おじいちゃんおばあちゃんがいることです。
一時保育利用のお子さんがいれば赤ちゃんや幼児もいたり、保育者もいたりと家族の縮図のようにいろんな年代の人が一緒にいて、自然に関わることができる空間になっています。

子ども達にとっては、地域の中で暮らしていることを実感できることが大切だと思っています。

障がいのあるお子さんは地元の学校ではなく養護学校に行っていると、地域とは離れてしまう感じになってしまいます。
その子たちは地域の子です。その子達が養護学校卒業後、養護学校で紹介された施設にいくのではなくて、地域に戻ってきても、お友達がいるようにしてあげたい。もしかしたら仕事が見つかるかもしれないし、知り合いを増やすこともできるかもしれない。地域で暮らすためにもここのような場所が必要なのではないかと。

障がいのあるお子さんを持つ親御さんの疎外感をなくしてあげたい。兄弟が障がいを持つ子どもが学校へ行っても偏見を持たれないようになればいいなと思います。

 

『みんなの食堂』のネーミングに込めた思い、今後目指すところは?

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ー野尻院長がメッセージとして掲げられていた“「地域で暮らす」、「地域で育つ」を、地域で支える”の思いが実現している場所なのですね。
では、それと同じような考えで、新しい『みんなの食堂』を始められたのですか?

『みんなの食堂』を始めたのは、『てまり』の中に『てまり茶屋』という地域の情報コーナーを作ったのがきっかけでした。

 

ーコミュニティカフェですね

はい、10時~3時まで200円でいつ来ても、どれだけいてもいいよという場所です。

 

ー年齢制限など、参加できる条件はありますか?

いいえ、ありません。近所の高齢の方でデイサービスまでは行く必要はないけれど、かといって行く場所がないとか、ひとり暮らしで誰かと話したいたいといった方が来たりしています。
何かプログラムあったりするわけではなく、ただおしゃべりしたり、常連さんがゲームを持ってきてそれを一緒にやったりと自由に過ごせる場所です。

そんな中で、定年退職後、急に連れ合いを亡くされて毎日ひとりの食事が寂しくて食欲もなくなるといった声を聞いたり、学童の子どもたちの様子とかみたり感じたりする中で、全国で広がっている子ども食堂のことを知り、じゃあここで月に1回くらいからやってみようということになりました。(今では月に2回の実施)

 

ーその食事はどなたが準備するのですか?

私やボランティアのスタッフが作ります。
『みんなの食堂』については、病院の事業や助成対象の活動ではなく、共感する仲間たちとのボランティア活動です。活動資金は寄付を集めました。

 

ー寄付はどのように集めましたか?充分に集まりましたか?

皆さん、ちょっとの余力というのは持っていらっしゃるので、活動の説明をすると気持ちよく寄付をしてくださったり、食材はお豆腐屋さんやお肉屋さんが月2回のうち1回は提供するよといってくださったりしています。

 

ー子どもだけに限らず、お年寄りも一緒に皆で食卓を囲むということですね

世間では子どもの貧困の問題からそのような活動が始まっていることが多いようですが、ここは昼間『てまり茶屋』を利用されている高齢者や学童に来ている子どもたちなど、誰でも来ていいよといった感じで始まっています。

越前市ではブラジル等の外国から来た家庭も最近多くなりました。
そういったお子さんは、親御さんが一生懸命お仕事されて頑張っていらっしゃって寂しい思いをされていたり、外国人ということで困難な状況にいる場合もあったりします。

この『みんなの食堂』には、そういった外国の方とか学校へ行けない不登校のお子さんやひとり親の方も同じように来たりしています。

食堂で一緒に食事をする時間を重ねていると、困難な家庭や支援が必要な家庭が見えてきます。そのような家庭の中には、行政に見せる顔とここで一緒にご飯を食べる仲間に見せる顔が違うことがあるんです。必要であればそのようなことを行政や学校にお伝えすることもありますね。それがプラスになっていくこともあったりしています。

 

ー新聞で取り上げられていた事例ですね。

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「福井新聞2017年5月5日紙面」

 

ー子ども食堂はかわいそうな子どもが行く場所というマイナスのイメージもありますが・・・。特に周りの目が気になる地方都市だとなおさらではないかと。

そうなんです。貧困のお子さんが来る場所、かわいそうな子が行く場所ということにはしたくないと思いました。だからネーミングも『みんなの食堂』としました。
あえて宣伝せず、寄付をお願いに伺う時や寄付を申し出てくださった方にチラシをお渡しする時に、もしも周りに気になる方がいたらお声かけしてくださいとお願いしていました。

ー口コミですね。どれくらいの人数の方が参加されているのですか?

もし誰も来なかったら準備した食事は自分達で食べればいいかといった気持ちで始めたところ、最初は20人くらいの方が来てくださいました。今では40人から50人ぐらいで、うち8割が常連です。

皆見知った顔で、月に2回、ひとつの場所に親戚が集まってくるといった雰囲気です。

 

ー続けていくということはご苦労もおありでしょうか?
何が運営のためのモチベーションになっていらっしゃいますか。

“「地域で暮らす」、「地域で育つ」を、地域で支える”という地域の子は皆我が子という思いに共感してくれる人達でワイワイ楽しくやっていることでしょうか。

自分たちも老後ここを利用するかもしれないし、ここに来る子どもたちが将来自立して、きちんと税金を収めてくれるようになってくれれば、自分達のためにも社会のためにもなるのではないか。

近くここに来る子ども達に学習支援も始める予定です。
高校へ進学して、就職して自立できるように支援できたらなと思っています。

 

『野尻医院(病院)』、『病児デイケア ままのて(病児保育室)』、『てまり(複合デイサービス)』、『てまり食堂(コミュニティカフェ)』、この『みんなの食堂』も、どれも必要に迫られて、自分たちができる範囲でやっています。

病気の時も寂しい時もつらい時もここに来たら誰かがいて支えてくれる「地域の中のよろず相談所」みたいな感じになってくれれば嬉しいですね。

 

「ままのて」スタッフ (左から野尻事務長、看護婦の三崎さん、野尻院長、保育士の青山さん)

「ままのて」スタッフ
(左から野尻事務長、看護婦の三崎さん、野尻院長、保育士の青山さん)

 

病児保育の意義として、仕事と子育てが両立できる社会の支援とともに、あらゆる状況にある子どもに対して、現在を生きる力を育み、成長の過程に伴走し、未来を作っていく力を培うことを「認定病児保育スペシャリスト」資格取得web講座の中では説明しています。

今回は番外編として「病児デイケアままのて」を運営する野尻医院の子どもの支援活動の広がりをご紹介しました。

病児保育に限らず、地域に応じた子育て支援事業を提供している「認定病児保育スペシャリスト」が全国各地にいます。今後、こちらのコーナーでご紹介していく予定です。ご期待ください。

*今回のお話の中にあった「子どもの貧困」に関連して、当協会理事長の駒崎が中心となって「こども宅食」のプロジェクトが始まりました。こちら

 

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