【第7回保育スキルアップ・セミナー開催報告(1)】病児の心に寄り添うアート体験 アート・セラピー・ワークショップ2014
2014.07.11
こんにちは、JaSCA事務局です。
6月21日に実施した第7回保育スキルアップ・オープンセミナー、本日は上原英子先生に講義いただいた第2部のアート・セラピー・ワークショップについて詳しくお伝えしていきます。
(講師の上原英子先生)
アート・セラピーでは、自分の言葉にしたくない感情をお絵かきやアート作品を作成することによって表現し、解放感を味わうことができます。
欧米の小児科病棟(病棟保育)ではアート・セラピーが広く取り入れられており、寝ていても痛みを感じるようなお子さんが「アートをしている時だけは痛みを忘れられる」とアートワークを楽しみにしているケースもあるそうです。病児保育でも使えるエクササイズを3つ紹介いただきました。
エクササイズ1 レース(race)
2人1組のペアで、Aの人が線を描いていきます。Bの人はAの人を追いかけて同じような線を描きます。
Aはコントロールできます。ふだん大人はA、子どもはBになることが多いですが、役割を変えてみると、相手の気持ちを理解したり、相手の役割を体験できます。
(レースの様子。Aの人が描いた線のあとを、Bの人が追いかけていきます。)
このエクササイズには速報でお伝えできなかった続きがあります。スクリブル(scribble)と呼ばれ、描いた線の中に何か見えるものを探すゲームです。探すものは動物、物、数字、アルファベット、形などさまざまです。
スクリブルでは、「2人で何が見えたか、あてっこする」「見つけたものに色をぬる」などもできます。例えばAがクマと見たものを、Bが違うキャラクターで見たとしても、どちらもOKなのです。たかが線をどう見るかですが、人によって見方はさまざまであることを体験すること、見つけたものから会話をふくらませることもできます。
(スクリブルの様子。描いた線の一部を使って見えたのは・・・、山のようです。)
エクササイズ2 今の気分(イメージ)を描く
今日の、今の気分(イメージ)を描きました。
どんな色で(濃く/うすく)、どんな形で、どんな線で(くっきり、ぼやける)描くか、自分のイメージを絵にしていきます。
子どもが描いた絵をみた時、「上手だね」と褒めて喜ばせたいという大人の声かけは、上原先生いわく「上から目線」。「どうやって描いたの?」「どうしてこの色を選んだの?」といったオープンクエスチョン(イエス、ノーで返事ができる質問ではなく、質問された人が思ったことを自由に答えられる質問)を大人が投げかけることで、子どもが自分で考えて答えるようになります。子どもと同じ横並びの目線で、作品や制作中の様子について具体的な評価することが大切ということです。
エクササイズ3 子どもの病気を描く
お子さんの病気をイメージして、絵に描きます。次に各自描いた絵をグループごとに1枚の模造紙に貼っていきます。模造紙に貼っていく過程で、メンバーの病児保育に対する考え方をグループ全体で共有し、病気のお子さんをどのようにサポートするかを考え、模造紙に絵で表現したり、字を書き込んだりして解決策を講じました。
(子どもの病気 グループごとの作品が完成した様子)
セミナー参加者の感想
・「表現することに気恥ずかしさや苦手意識がありましたが、楽しく参加できました。」
・「手を動かすことが頭で考えるより効果があることがよくわかった。」
・「ただ子どもとお絵描きする際も、今日の知識があれば言葉かけも工夫できる。」
などの感想をいただきました。
近日中に北浜直先生の第1部「夏の感染症 保育所での対策はこれでバッチリ!」編も公開いたします。どうぞお楽しみに!
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