【4児のママになりたい女子大生/篠ちゃんの病児保育奮闘記】~3日目~
2014.09.26
【4児のママになりたい女子大生/篠ちゃんの病児保育奮闘記】~3日目~
1歳5ヶ月の男の子
実習最終日は今までで一番小さい1歳の男の子でした。1歳5ヶ月のお子さんは、想像していたよりも小さく、今までで一番関わりのなかった年齢でもありました。
朝の引き継ぎの際にはすでに寝ていました。症状は中耳炎になりかけで、熱も高くなってきているとのこと。中耳炎ということだったので、もしかしたら高熱も出るかもしれません。お母様からは状況に応じて解熱剤を使ってほしい、と解熱剤をお預かりしました。
私は1日目・2日目の反省を踏まえ、今日はより症状の変化に気をくばり、その症状にあった保育をしていこうと決めていました。
病状は熱だけで測れるものではない
11時にお預かりを開始しましたが、男の子は起きずにずっと寝ています。朝の段階で38.3℃もありましたが、すやすやと眠れているので一安心。
男の子が起きた時はどんな反応をするかな~と思いながら男の子の様子をみていると、レスキュー隊員さんは男の子の顔や手を触り、体温をチェックします。
男の子は途中でお昼ご飯やおむつ替え、水分補給などに起きはしましたが、熱も高く結局ほぼ一日中寝ていました。寝ている間は気が緩みがちですが、寝ている間にも病状はどんどん変わっていきます。
そして午睡中、体が熱いので熱を計るとついに40℃近くまで熱が上がっていました。私はそんなに高い熱がでているのを目の前で初めて見て、かなりうろたえてしまいました。
ただ、男の子はというと、息も正常で寝苦しそうにしているわけでもありません。レスキュー隊員さんは冷静に首元と脇の下をクーリングしますが、お母様とも相談の上、解熱剤は使わないことになりました。
逆に、熱が下がっていたと思っていても、男の子が寝苦しそうにしていたり、息が少し早くなっていたりすることもあります。
17時ごろになっても熱は高いままで寝たいのに苦しくて寝られない様子で、ご機嫌ななめに。お母様に連絡をして解熱剤を使うことになる場面もありました。
目まぐるしく症状が変化する中で、ついつい熱の高さでお子さんの体調を考えがちですが、熱の高さよりも、むしろお子さんのぐったり具合であったり食欲などが体調のバロメーターになる、ということを目の前で見て感じることができました。そしてこれは実習にきていなければ知ることができなかったことでもありました。
少しの変化で子どもの反応も変わる
一日を通して寝ていることの多かった男の子でしたが、お昼ごはんはしっかりと食べられ一安心。私も初めての食事介助をしたのですが、大好きなお味噌汁はパクパク食べてくれますが、ご飯(お米)がなかなか進みません。
私は今はお米を食べたくないのだな、くらいにしか考えておらず、「無理にご飯を食べさせようとしなくて良い」という病児保育の教科書通り、お味噌汁だけ食べさせていました。
ところが、レスキュー隊員さんがあることをするだけで、男の子はお米も進んで食べてくれるようになりました。
それは、ふりかけ。
「お色がついてきれいだね~」と言いながらレスキュー隊員さんがふりかけをかけると、男の子が今まで興味を示さなかったお米に少し興味を示すようになりました。
そしてスプーンで口元まで持っていくと・・・食べた!!!
さっきまでお米を口元に持っていくだけで泣いていたのがウソみたいです。
小さなことかもしれませんが、ここから学んだことは、少しの変化で子どもの反応も変わるということ。こうして、子どもの自発性を促します。
無理やりご飯を食べさせるのでもなく、嫌がっているのだから仕方がないと諦めるのでもなく、その子の最善の利益を考えた時、今は興味を示さないものでもどうしたらその子が進んで食べてくれるかを考え少し工夫をすること、それが本当の病児保育だということを目の当たりにした出来事でした。
面白いことはくりかえし♪
昼食後、ご機嫌の男の子は遊びたそうにしています。と言っても熱も高くやはりツラいのか、あまり歩き回ったりはしません。そこでレスキュー隊員さんが絵本をとりだします。レスキュー隊員さんのお膝に座り、まずは私が絵本を読んであげることに。
しかし・・・絵本を読み聞かせたことなんて、覚えている限りではほとんどありません。。
案の定、私の読み方が下手だったのか、男の子は私が読んでいる途中の絵本をぺらぺらとめくり、強制終了。(泣)
心が折れたので、レスキュー隊員さんに交代すると、やはり私とは比べられないくらい楽しく絵本を読んでくださいます。
男の子も楽しんでいて、最後まで読み終わると、最初のページに戻し、もう一度、というように催促します。そしてそれを何度もくりかえします。
大人になると、単純で同じように感じてしまうことも、子どもにとっては毎回違う発見があったり、もしかしたら単純なくりかえしそのものが面白かったりするのかもしれません。
その後も何がスイッチになるのかはわかりませんが、気に入ったことは飽きるまで何度も何度もくりかえし遊びます。
くりかえしの中で、それまであまり発さなかった言葉も徐々に出てきたり、満面の笑みを見せてくれたりと、年齢に合わせた遊びが病気の時であってもその子の発育を促すのだ、と感じる瞬間でした。
最後に・・・
こうしてあっという間に3日間の実習が終わってしまいました。
訪問型での病児保育実習は、一日を通してお子さんと1対1で向き合うことができ、よりお子さんの病状や年齢に合わせた遊びやケアをできたと思います。
しかしその一方で、1対1という環境の中では、保育者自身不安を感じたり、煮詰まってしまったりと、1対1の病児保育の難しさも感じ、病児保育者同士の横の繋がりの必要性も感じました。
つたない文ではありましたが、この日誌を通してみなさまと病児保育の意義やそこからの学びを、少しでも共有できたら、と思います。
また、もし病児保育に携わりたいけれどもう1歩が踏み出せない方がいらしたら、この日誌がその方の背中を押すきっかけになれば幸いです。
(こんなへなちょこな私でも、病児保育実習を無事に終えることができました!(笑)そして、実際に実習をしてみて見えてくるものはたくさんありました。)
そして、最後にはなりましたが、実習に関わっていただいた全ての方に感謝いたします。
初めての実習を受け入れてくださった認定NPO法人フローレンスの本部の方や実習指導をしてくださったこどもレスキュー隊員さん、実習を受け入れてくださった利用者の方、そして自分のことのように心配し、応援してくださった事務局のメンバー、本当にありがとうございました。
▼実習初日、2日目の様子はこちらから!
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