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【第10回保育スキルアップ・オープンセミナー】家庭とはひと味ちがう!?保育者のよみきかせ~「絵本で」子どもの五感を働かせよう!(前半)

2015.03.20

保育現場では絵本のよみきかせが日常的に行われています。
でも日常的に行われているがゆえに、保育者にとっては自己流になりがちであり、どうやってスキルアップしたらよいのか意識しづらい内容ではないでしょうか。

2月28日の第10回保育スキルアップ・オープンセミナーは、『保育者のよみきかせ』をテーマに開催しました。
保育者として知っておきたい「絵本を選ぶ視点」、「保育者としての絵本読み聞かせのポイント」だけではなく、参加者から反響の大きかった「対象年齢」など、これまで私たちが意識してこなかった絵本の奥深い内容がありました。池田幸代先生による講義、参加者によるディスカッションの開催報告(前半)です。

 

子どもの発達段階に応じた絵本選びの視点は?

☆P1070195

(講師の池田幸代先生)

まず病児保育を利用することの多い1歳児~3歳児を中心に、子どもの発達段階と結びつけて絵本選びの視点を教えていただきました。

▼主に1歳児~3歳児
・おとなとの愛情やふれあいを楽しむ
・身近な親しいものを楽しむ
・安心して、ドキドキを楽しむ
・日常生活の興味・関心を満たす
・絵本の世界に入り込むことを楽しむ
・場面やストーリーの展開を楽しむ
・科学への目、身の回りの不思議を楽しむ

▼主に4歳児~5歳児
・赤ちゃんの絵本「わたしって、どんなあかちゃんだったの?」
・ことばっておもしろい!ことばのリズムやくりかえしを楽しむ
・いつまでもおもしろい、むかしばなし
・ほんものの美しさに触れる

こうして並べてみると、多くの視点で「楽しむ」という言葉が含まれていることに気がつきます。
池田先生が講義の中でくりかえし強調されていたのは、「絵本の楽しみ方は自由である」ということ。
無理に絵本好きになる必要はないというお話もありました。

今回のセミナー、絵本選びの視点をふまえて先生から紹介のあった絵本は60冊を超えていました!
視点別に紹介されることで、セミナー参加者からは「(保育者として)どんな時に読めばよいかわかりやすい」との評価もいただきました。

 

保育者としての絵本読み聞かせのポイント

では、保育者として子どもたちに読み聞かせする時のポイント(注意したほうがよいこと)は何でしょうか?
池田先生のお話から、4点に集約してみました。

(1)絵本はまず「楽しむ」ものだということを忘れない!
保育者も子どもも、ともに絵本を楽しむことが大切です。
読み終わった後に「登場人物が誰だった?」「このシーンはどうだったっけ?」などと子どもに尋ねることは、子どもの記憶力を試すことであって、子どもも保育者も絵本を楽しむことにはつながりません。
覚えさせたり強制させたりする必要はないのです。

(2)絵本を読むときは中断しない!
時間がないからといって、お話の途中でやめてしまう、または絵本の内容を省いて読み聞かせをするのは、子どもにとってイメージする世界の構築を中断されるという酷なことです。
なぜなら絵本の世界はそれ1つで完成しているからです。読む時間がないのなら、読まない方がよいです。
裏表紙も絵本の作品の一部です。映画のエンドロールのように、絵本の裏表紙におはなしの続きが描かれていることがあります。おはなしが終わったら終わりではなく、裏表紙まで見せてあげることが望ましいです。

(3)声の高さを意識して読もう!
子どもは女性的な高い声と、男性的な低い声に対する反応が違います。
高い声を聞くと、安心したり、その時の感情や行動が促進されます。例えば道路に飛び出そうとした子どもに「危ないから、止まって!!」と高い声で叫んでみても、子どもはすぐには止まることができません。
逆に抑揚のきいた低い声で「だめ!」と簡潔に話すと、子どもはその音に反応して行動を抑制します。
一般的に、声が高い女性が明るく楽しい話を読み聞かせ、声が低い男性がドキドキするちょっと怖い話の読み聞かせをすると、子どもが注目しやすいそうです。読み聞かせをする時は、おはなしの内容に合わせて声の高さに注目してみましょう。

(4)保育者は子どもより先に泣いてはいけない!
子どもは柔軟な発想を持っているので、時に大人が予想できない反応をすることがあります。
保育者は大人としての冷静さや判断力を持って、子どもの柔軟さに対応できる柔軟な気持ちを持つ必要があります。
絵本の内容によっては、大人が感情移入してしまうことがありますが、涙を見せるのは子どもより後のタイミングにしましょう。
子どもにとって大人の涙の影響力は大きく、子ども自身が感じること、想像することの余地を狭めてしまいます。
同様に、読み聞かせの後に絵本に対する感想や思いについて大人(保育者)が発言することも危険です。保育者の読み聞かせは子どもが優先です。

 

お待たせしました!参加者が持ち寄った絵本はこちら!

今回のセミナーでは参加者が持ち寄った絵本を使ってディスカッションを行い、テーブルごとに1冊を選んで発表いただきました。
参加者の紹介コメントと共にご紹介いたします。

☆P1070101

<テーブルA ちょっとだけ(福音館書店)>
きょうだいが生まれてお姉さんになった「なっちゃん」が主人公の絵本。
2年前に訪問型の病児保育でお宅に訪問した時、お昼寝前の(読み聞かせの)1冊に4歳のお子さんが指定した1冊でした。
本棚の中から背表紙を見ただけで選んできたのが印象深かったので、選んでみました。

<テーブルB トマトさん(福音館書店)>
絵はグロテスク(中にもみみずなど、虫が出てくる)だが、
暑くて川に入りたいトマトをとかげ、ミミズなどの虫が力をあわせて助けてくれる絵本。
保育園に勤めていたときに、お昼寝前に子どもたちが争うように読んでいたので選んでみました。

<テーブルC めっきらもっきらどおんどん(福音館書店)>
遊ぶ友達がいなくて頭にきちゃった子どもがおまじないで不思議な世界にいって、不思議なものに出会う絵本。
不思議なおもしろい言葉が繰り返し出てきます。
自分の子どもに読み聞かせしたら、読み終わった時に「よかった」と本人が心から安堵していた様子が印象的で、選んでみました。

<テーブルD ねぇ、どれがいい?(評論社)>
「ねえ、どれがいい? お城で食事、気球で朝ごはん、川でおやつ。」というように、たくさんある質問の中から子ども自身に答えを選んでもらえる絵本。
最後のページが「そんなことより、もしかして、ほんとうは、もうじぶんのベッドでねむりたい?」ということで、保育中ならお昼寝に誘導することができるのがおすすめです。
自分の子どもが大好きで、小学校にあがってからも読んでいました。高学年の時は子どもが続編を自作していたこともあり、選んでみました。

<テーブルE わたしのワンピース(こぐま社)>
野原で白いきれをひろったうさぎは、黒い足踏みミシンでワンピースを縫います。
お話の展開によってワンピースの様子も次々と変わっていく絵本です。
色がきれいで、ワンピースを着てうさぎが楽しそうに歩く姿、言葉のリズムが軽快で楽しめるということで、選んでみました。

ディスカッションでは以上の5冊を発表していただきました。
誰もが知っているロングセラーもありますが、多くの参加者から「知らない絵本、初めて出会った絵本があった」とアンケートでご回答いただきました。
この欄でご紹介できたのはほんの一部ですが、「この日(セミナー)のために絵本を探した」という参加者のみなさんの思いが強く伝わってくるディスカッションでした。

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開催報告(後半)では参加者からの反響が大きかった「絵本の対象年齢」、セミナーのタイトルに入れた’五感’に関わる「子どもの本能」についてご報告します。次回も必見の内容ですよ!!

 

 

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