一般財団法人日本病児保育協会 設立5周年のごあいさつ
2017.09.18
本日9月18日、一般財団法人 日本病児保育協会は設立5周年を迎えることができました。
「M字カーブ」という言葉をご存知でしょうか。
日本における労働力率をグラフ化したとき、35~44歳の年齢層の女性のみ急激に落ちこみ、アルファベットのMのように見えることから名付けられた特徴です。結婚や出産をきっかけに多くの女性が仕事を辞めていることの象徴でもありました。
この「M字カーブ」、過去のものになりつつあります。
最新のデータ(7月の総務省 労働力調査)では35~44歳女性の労働力率は75.3%。
協会を設立した2012年のデータ(69.7%)から5ポイント上昇し、前後の年齢層との差も縮小しています。
出産後も仕事を続ける女性が増加していることは、子育て世代へのサポートがより求められていることを意味します。
共働き家庭の増加が続いているため、病児保育に直面している家庭も増加の一途をたどっています。内閣府発表データによると、年間で病児・病後児保育事業を利用しているお子さんは延べ61万人。
1年前(57万人)に比べると4万人増加していますが、2020年に向けて政府が掲げている目標の延べ150万人の利用にはほど遠い状況です。
わたしたちは病児保育の資格「認定病児保育スペシャリスト」を認定し、病児保育を学ぶ場としてweb講座を運営しています。
この5年間で「認定病児保育スペシャリスト」資格を取得した認定者は累計で200名を超えました。
なかには資格取得後に自ら病児保育事業を立ち上げた方もいます(詳しくは公式サイト・病児保育レポートの中で紹介しています)。
認定者の居住地域が全国39都道府県にわたっていることからも、もはや病児保育問題は日本全国にわたっての社会問題であるといえるでしょう。
卒業時に保育士資格を取得する養成校向けに展開している「認定病児保育スペシャリスト(アカデミック)」の導入校も今年度はすでに7校、10月からの導入予定校、来年度からの導入検討準備が始まっている学校も複数校あります。
公式テキストも5年間で約4,000冊販売し、3回目の増刷となりました。
今すぐにweb講座を受講するのが難しい方、あるいは病児保育に関心を持ち始めた方は、まず公式テキストをご覧いただくことをおすすめしています。
依然として、病児保育を担う人材は不足しています。
本日設立5周年を迎えられたことに感謝するとともに、6年目も病児保育に必要な知識・スキルを備えた担い手を送り出すことができるよう、ひきつづき活動してまいります。
2017年9月18日
一般財団法人日本病児保育協会 理事長 駒崎弘樹
事務局スタッフ一同