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【乳児の心肺蘇生】第13回資格認定試験のポイントと解説③(「心肺蘇生・気道異物の除去」より)

2019.08.07

第13回認定試験第3問では、「心肺蘇生法・気道異物の除去」より、「乳児の心肺蘇生」に関して出題しました。

※出題箇所
Web講座:
講義13「心肺蘇生法・気道異物の除去」

テキスト:
認定病児保育スペシャリスト試験公式テキスト
巻末資料「心肺蘇生法」(114ページ)

 

試験課題

【設定】
今日あなたは、訪問したお宅で、ユキちゃん(10か月・女の子)の病児保育をしています。
風邪の回復期ということもあり、機嫌よく穏やかに過ごせていましたが、
午睡中、ユキちゃんの顔色が悪く、唇が紫色になっていることに気づきました。

  ※気道閉塞や、昼食等によるアレルギー症状ではないものとします。
  ※この場にはあなたとユキちゃんしかいないものとします。

 

【設問1】
この状況で、次にあなたがとるべき対応はどんなことでしょうか。

 ※処置の間、ユキちゃんは一切反応しないものとします。

<記入> 制限時間:2分
あなたがとるべき対応と手順を補助用紙に記入してください。
記入が終わりましたら、「終わりました」と告げてください。

<回答> 制限時間:4分
補助用紙に記入した内容をもとに、マネキンをユキちゃんに見立て、
何の動作をするのかを口頭で説明(実況)しながら、
試験官に見えるように実際にその動作を行ってください。
動作が終わりましたら、「終わりました」と告げてください。

※説明(実況)の例:「両手を上にあげます」と言いながら両手を上げる動作をする。

 

模範解答例

(1)反応(意識)の確認
設定された状況から、ユキちゃんは意識がなく、呼吸も停止していることを疑います。
よって、心肺蘇生法を実施します。

まずは反応の確認をします。
肩を軽くたたきながら耳元で名前を呼びかけ、反応の有無をみます。
「ユキちゃん、ユキちゃん(肩を軽く叩く)」
反応がありません。
(※設定内で『処置の間、ユキちゃんは一切反応をかえさないものとします』と表記あり)

(2)119番通報(救急車を呼ぶ)
119番通報をします。
(※本設問では、訪問型の病児保育と設定されていることから、「近くの人に呼んでもらう」といった第三者が近くにいる想定の回答は加点していません)

(3)呼吸の確認
ふだんどおりの呼吸をしているか確認します。
胸やお腹のふくらみを、10秒以内でチェックします。
このとき、鼻に耳を近づけつつ、胸・お腹の動きを目視します。

(4)胸骨圧迫 (※人工呼吸が先でも可)
呼吸が確認できないため、胸骨圧迫を実施します。
(※胸骨圧迫に替わり、心臓マッサージの回答でも可)
ユキちゃんは乳児なので、胸の真ん中を2本指で圧迫していきます。
2本指で、胸の厚さのおよそ3分の1がへこむ強さで、1分間に100~120回の速さで30回圧迫します。

(5)気道の確保
続いて、人工呼吸を行います。まず気道の確保を行います。
(片手で額が真上を向くように押さえながら、あごを鼻より高くするように指先で持ち上げ、気道を確保する)

(6)人工呼吸
ユキちゃんは乳児なので、自分の口で鼻と口を同時に覆い、2回息を吹き込みます。
息の吹き込みは1秒に1回のペースで行います。
吹き込んだとき、胸が上下するのを確認します。

(7)胸骨圧迫と人工呼吸を繰り返す
救急隊員が来るまで、胸骨圧迫と人工呼吸を繰り返します。
(または、制限時間の終了まで胸骨圧迫と人工呼吸を繰り返した場合も可)

 

合格の基準

この課題では、以下の点について判定を行いました。
(1) 設定の状況から、保育者として行うべき行動にたどり着けるか。
(2) 事故が発生した際に、速やかに正しい救命・蘇生措置を行えるか
(3) 大人や幼児への心肺蘇生と、乳児への心肺蘇生の違いを理解しているか

 

ポイント解説

設定から、それまでに兆候がなかったにも拘わらず、午睡中にユキちゃんの容態が急変していることが分かります。
“顔色が悪く、唇が紫色”という様子から、心肺停止によるチアノーゼが疑われます。
ただし、この時点では、SIDSや気道の閉塞、アナフィラキシーなどいくつかの要因が考えられます。

しかしながら、今回は「※気道閉塞や、昼食等によるアレルギー症状ではないものとします。」という注釈があるため、SIDSによる心肺停止が有力であると考え、心肺蘇生を行うべきだ、という結論にたどり着けるかが重要となります。

実際の保育現場では、当然こうした設定は無く、目の前で子どもに起きた現象について、瞬時に自身の頭で要因を推定し、とるべき行動をとる必要があります。そうした力を身に着けてほしいため、本問題を出題しました。

 

事務局の所感

今回は乳児の心肺蘇生について出題しました。
過去、数多く出題されている問題ということもあり、多くの方がスムーズかつ適切な動作でしたが、「胸骨圧迫のテンポ・強さ」については不十分な回答者が目立ちました。

胸骨圧迫は1分間につき100-120回のテンポで行います。
緊張したり焦っているとテンポが早くなってしまったり、圧迫の強さを気にするあまり遅くなってしまうことがあります。実際の人命救助の場面では、圧迫のテンポが早すぎたり遅すぎたりすると効果が低くなってしまいます。
どんな場面でも適切なテンポと強さで圧迫を行えるよう、同じ速さの音楽を流しながら練習をしてみるのもおすすめです。

また、救急車を呼ぶことを忘れていたり、呼ぶタイミングが遅い回答者も複数いました。
本問は、子どもの命が危ぶまれ、かつ周り助けを求められる人もいない状況です。
その状況下での救急車の要請の遅れはまさに致命的です。
回答時に胸骨圧迫や人工呼吸に意識を集中しすぎたためかもしれませんが、とても重要な知識なので改めて復習ください。

 





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