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【終了の引き継ぎ】第16回認定試験のポイントと解説③(「病児保育の1日」 より)

2021.03.03

第16回認定試験課題3では、「病児保育の1日」から”終了の引き継ぎ”について出題しました。

※出題箇所

 

 

試験課題

【設定】

あなた(ジャスカ花子)・・・病児保育施設に勤務する保育士
試験官・・・引き継ぎ者(初めて病児保育室に子どもを預けた親)  

 

【設問1】

病児保育記録をもとに、終了の引き継ぎを行ってください。
報告が終わった後、引き継ぎ者(試験官)より質問があります。 web講座で学んだ内容をもとに回答してください。

※ 引き継ぎの動画とまったく同じように引き継ぎを行う必要はありません。引き継ぎの動画はあくまで参考としてください。

※ 引き継ぎの動画の最後に行っていた”お預かり品の返却”については、回答時は、一つ一つ確認しての返却は省略し、まとめて「お預かり品をお返しします」と伝えてください

 

■終了の引き継ぎ

 開始の合図とともに、病児保育記録を使った終了の引き継ぎを始めてください。
 引き継ぎの出だしは、「おかえりなさい。お仕事おつかれさまでした」から始めてください。
 引き継ぎがおわりましたら、「おわりました」と引き継ぎ者に伝えてください。

  〈回答〉制限時間:3分

 ※この課題では、課題の概要と病児保育記録、引き継ぎ動画を事前に提示していました。
  受験生は各自病児保育記録を印刷して確認することができたので確認と記入の時間の設定はなし。

 

報告後の質問

 引き継ぎ終了後、親御さんから以下の質問がありました。
 web講座で学んだ内容をもとに、それぞれの質問に回答してください。

(質問内容)
 ①家に帰った後、咳が続いていた時のケアや注意することを教えてください。
   ②昨日の受診の時に解熱剤を処方されているのですが、このまま熱が下がらない場合、解熱剤の使用の目安を教えてください。

 <確認・回答>制限時間:3分

  ①、②の質問を確認後、口頭で回答してください。
  回答が終わりましたら、「終わりました」と告げてください。

 ※この問題では、実際の引き継ぎでの質問への即時回答を想定しているので、記入の時間の設定はなし。

 

模範解答例

■終了の引き継ぎ

「お母さん、おかえりなさい、お仕事おつかれさまでした。
 本日のこたろうくんのお預かり中のご様子を報告させていただきます。

 まず、入室時38.0℃だったお熱ですが、お昼寝後の検温時38.8℃に上昇しました。午後はこまめに検温しました。14:30以降は38.6℃のお熱が続いていて、お迎え前の17:30の検温では38.5℃でした。一日を通して38℃以上の高いお熱が続いていました。

 風邪の症状としては、鼻水は午前中のみで午後には出ていませんでした。咳がお昼寝中より出始め、午後には回数も増えていました。12:30~14:30の2時間お昼寝をしました。お昼寝中微かに喘鳴音があり、咳で2度目を覚ましました。
水分補給については、午前中は摂りたがらない様子も見られましたが昼食時にはスープを100CC、咳が増えてきた午後にはこまめに水分を摂るように気をつけ、午後は麦茶をこまめに飲めていました。食欲もあり、昼食のおにぎり、卵焼きは完食、ミニトマトを1個食べました。
15:00にはおやつのヨーグルトも完食されています。

排便は、朝と夕方に2度普通便が出ています。排尿も1日を通して出てます。
詳しくは、保育記録をご確認ください。

食後12:20にお預かりしたムコダインを与薬しました。
お昼寝あけの14:45には医師の回診※がありました。
(※回診結果詳細は今回は特記せず)

1日を通して高いお熱が続いていて、ご心配もあるかと思いますが、本日のこたろうくんは食欲、元気もあり、機嫌良く過ごされていました。午後から咳が増え熱も高かったので、元気はありましたが、水分補給に気をつけ、絵本を読みきかせたり、お布団で横になって静かに過ごす等の配慮をしました。

報告は以上です。

お預かりしたものを返却いたしますので、ご確認ください。

お気をつけてお帰りください。
お大事になさってください。

 

報告後の質問

①家に帰った後、咳が続いていた時のケアや注意することを教えてください。

まず、湿度に注意して、室内が乾燥しないように加湿をしてください。
痰が絡んでいるような時には水分を多く摂ることで、痰が排出されやすくなります。水分を意識的に多めにとらせてください。

また、咳がひどい時には、上体を起こした姿勢のほうが楽になることがあります。
上半身の下に何か置いて上体を高くなるようにしたり、布団に前かがみになるようにするなどの工夫をしてあげるとよいです。
   

②昨日の受診の時に解熱剤を処方されているのですが、このまま熱が下がらない場合、解熱剤の使用の目安を教えてください。

発熱は体の自然な反応で、病原体と戦うために必要だから熱が出ているので、必要がなければ、解熱剤を使う回数は少ないほうがいいですが、このまま熱が下がらず、高熱のためお子さんが、食べたり、飲んだりすることができない時、機嫌が悪く、ぐずりがひどい時、眠れないような時が解熱剤を使ってあげる目安となります。
また中耳炎などで痛みがあるときにも、ぐずったり、機嫌が悪くなることもあります。解熱剤には痛み止めの効果もありますので、そういう場合には痛みを軽減してあげる意味でも使うこともあります。

 

合格の基準

この課題では、下記の3点について判定を行いました。

●「信頼できる保育者」にふさわしい挨拶、言葉遣い、会話のやりとりができている

●事前に提示された病児保育記録を正しく読み取り、制限時間内に引き継ぎ者にお預かり中のお子さんの病状や様子等を適切に報告できる

●報告内容についての質問について、その意味を理解し、即時に正しく回答ができる

 

ポイント解説

●「信頼できる保育者」にふさわしい挨拶、言葉遣い、会話のやりとりができている 

終了の引き継ぎは、お仕事が終わってお子さんの日中の病状を心配しながらお迎えにいらした保護者に対して行うことを想像してください。

もし、保育者のあなたが、
-表情が暗かったら?
-うつむいて、視線をそらしていたら?
-くだけた言葉づかい・口調が厳しい言葉づかいだったら?

保護者はどう感じるでしょうか?
保護者に不快感や不安感を与えることにつながりかねません。
保護者にまず安心感を与えるためには、笑顔で、保護者の目を見て、敬語での会話を心がけなくてはなりません。
また、お子さんの年齢や病状によっては、保護者自身がお子さんの看護とお仕事で疲れていらっしゃる場合もあります。保護者に対しても労りの気持ちを持ち、相手の様子を見ながら、わかりやすい言葉や話す速度や内容(優先事項やポイントを考える)など柔軟に対応することも必要でしょう。
 

制限時間内に「報告すべき項目」を漏れなく、正確に、わかりやすく伝えられる 

今回は、時間内に病児保育記録の報告項目を全て回答できているかを採点基準としています。
事前に課題が提示されていたので、十分に準備されていた方が多かった印象があります。

中には、詳しく説明しすぎて当日提示された制限時間内で終わることができなかった方もいました。実際の終了の引き継ぎでは、病児保育記録に記入した中で、何を口頭で報告すべきか、後で記録を見て確認してもらうか、どのように記入した内容の補足をするかを考えて報告できると良いでしょう。

 

●質問の意図を理解し、適切な回答ができている
実際の終了の引き継ぎでは、保育者は報告の後、親御さんが気になる点や質問がないかを確認します。これまで認定試験の課題として出題したことのある”解熱剤の使用”と初めての出題となる”咳の時のケア”を出題しました。

どちらも、実際の引き継ぎを想定して、質問にすぐに回答できるかを判断する課題形式でした。判定項目は、web講座で説明されている内容となっています。

 

事務局の所感 

本課題は、事前に課題内容を提示していたため、前半の終了の引き継ぎの問題は高い平均点となりました。一方、後半の質問の課題では、質問の意図を間違って捉えて回答が全く違っている方などもいて、回答率に差が出ていました。

施設型、訪問型どちらの場合においても、病児保育では保護者との引き継ぎは大変重要です。
帰宅後、ご家庭でお子さんを看護する保護者へ対しての報告で大事なことは、日中の様子を正確に伝えること、不安に思っている保護者を安心させてあげる気持ちも持っての対応ができるようになれることです。
事実を正確に伝えることに精一杯で、引き継ぎ者の顔を見ない、言葉や表情が硬い等、相手がいることを想定できていない様子の受験生もいらっしゃいました。

後半の質問の回答の場面では、親御さんからの質問のポイントを把握し、web講座で学んだ知識を質問に合わせて相手に上手く伝わるように伝える技術(態度、話し方の工夫等)が必要です。


これからも今回の試験の経験を生かして実践の場で研鑽していただきたいと思います。

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