【病気の時でも子どもは遊びたい!】第1回資格認定試験のポイントと解説①(「病児保育の遊び」より)
2013.08.27
本日は、「病児保育の現場における遊び」についてお届けします。
「子どもは病気の時は安静にしてさえいればいい」
そんな風な考えをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、子どもの「遊びたい!」という気持ちは、
健康なときも病気のときも変わりはありません。
子どもが病気の時には、保育者は子どもの状態を見極めたうえで、
「読み聞かせ」「手遊び」「折り紙」などの「静の遊び」を
提供してあげなくてはなりません。
先日の認定病児保育スペシャリスト資格の2次試験でも出題したこのテーマ。
2次試験問題の概要、出題意図、解答例を通して、
病児保育における「遊びの重要性」について理解しましょう。
試験概要
幼児マネキンを回復期にある3歳の男の子に見立て、
「読み聞かせ」「手遊び」「折り紙」の中から1つを受験生に選択していただき、
それを選んだ理由を述べるとともに実際に遊んでいただきました。
「読み聞かせ」に関しては、絵本をこちら側で複数冊用意して
その中から一冊選んでいただきました。
「手遊び」と「折り紙」の中身については、受験生に自由に選択していただきました。
選択した理由の妥当性、実際に遊んでいる様子を評価のポイントとしました。
出題意図
出題の意図は以下です。
・子どもの発達段階を理解し、それに合った適切な遊びを提供できるようになること
・子どもの興味を惹きつけながら、楽しく遊ぶことができるようになること
よって採点の大きな基準としては、
①その遊びが子どもの発達段階・状態に適しているか
②笑顔で楽しく遊び、子どもの興味を惹きつける工夫ができているか
この2点を設定しました。
各遊びにおける解答例
読み聞かせ
●絵本の選び方
発達の段階に合わせた絵本を選ぶことが望まれます。
3歳という時期は、ようやく話し言葉の基礎ができて、盛んに質問するようになり、
知的興味や関心が高まるようになってきたころです。
高い、低い、大小、多い少ない、などの概念や、
3までの数の概念も理解できるようになります。
よって、絵本を選ぶポイントとしては、
・単純で、わかりやすいストーリー
・繰り返しの部分があったり、同じ言葉が繰り返し使われているもの
・抽象的な表現が少なく、お話を聞いて具体的にイメージができるもの
・子ども達の身近な事を題材としていて、様子を想像しやすいもの
などがあげられます。
●具体例
以下のような絵本の選択が望まれます。
・ももたろう
・3匹の子ブタ
・ノンタン
・おおきなかぶ(※今回の試験ではこちらの題材の用意はありませんでした)
・3匹のヤギのがらがらどん
(※今回の試験ではこちらの題材の用意はありませんでした)
など
●評価のポイント
発達段階の考慮、子どもの気を惹きつける、
という観点から以下のような評価ポイントを設けました。
□笑顔で楽しく話ができているか
□発達段階にあった題材を選べているか
□聞き取りやすい声で読みきかせられているか
□単調でなく、メリハリをつけて子どもの興味をひきつけるような読み方ができているか
手遊び
●手遊びの選び方
3歳というのは手先が器用になる時期なので、手指を使った手遊びができるようになります。
この時期はリズム感がある童謡を好む時期です。
また、簡単なルールを覚えて、ゲーム的なことを楽しんだり、まねっこ遊びを楽しめる時期です。
なので、手遊びの選び方のポイントとしては、
・言葉の繰り返しが使われている
・リズミカルな歌
・複雑すぎず、見て、聞いて、簡単に真似て遊べるもの
・ルールが簡単で、ゲーム性のあるもの
などがあげられます。
●具体例
・やおやのお店
・3匹の野ねずみ
・グーチョキパーでなにつくろう
・あおむしでたよ
など
●評価のポイント
□笑顔で楽しく遊べているか
□発達段階にあった題材を選べているか
□子どもが目の前にいるつもりで、子どものペースに合わせて遊べているか
折り紙
●折り紙の選び方
子どもは3歳ごろになると、手先が器用になり、指先の細かい動作ができるようになってきますが、
きっちりと揃えて折る、などはまだ難しい段階です。
なので、折り紙での遊び方のポイントとしては、
・何か作品を作るというよりは、折り紙で遊びながらできた形を楽しむ
・保育者が中心となって折りながら、要所で一緒に折ってみる
・一緒につくり、出来上がったあとの遊びにつなげる
などがあげられます。
●具体例
・かみひこうき
・(2~3工程でできあがる)ねこ、いぬ
・おさいふ
など
●評価のポイント
□笑顔で楽しく遊べているか
□発達段階にあった題材を選べているか
□きちんと折る、正確に折る、ということよりも「形が変わっていく楽しみ」を提供できているか
□出来上がった作品で遊びを提供できるか
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いかがでしたでしょうか。
病児保育は「軽い病気や発熱の子どもを親の代わりに預かりケアすること」であり、安静がまずは第一ではありまますが、子どもの遊びへの欲求は病気のときでも変わりません。病児保育のプロに求められることは、子どもの発達段階や病気の状態に合った遊びを多種多様に展開し、病気であってもその子どもが一日を楽しく過ごせるように場をプロデュースしていくことなのです。