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【これからの保育観】第3回資格認定試験のポイントと解説③(「病児保育の意義」「病児保育とは何か」より)

2014.11.07

【乳児の気道異物除去】第3回資格認定試験のポイントと解説①
【リスクマネジメントのプロセス】第3回資格認定試験のポイントと解説②

とお送りしてきた、第3回認定試験のポイントと解説は、今回が最終回となります。

 

わたしたちの目指す病児保育像

「子どもの様々な状況に対応するのが本来の保育の姿であり、病児保育は保育そのものの中に含まれている」
というのが、わたしたち日本病児保育協会の考える病児保育です。
認定病児保育スペシャリストには、この姿勢を身につけてほしい、ということで出題しました。

出題のねらい

以下のような主旨が理解できているか

●保育の定義における「子ども」はあらゆる状態の子どもすべてを含んでおり、保育の対象となる子どもは健常児・健康時だけではない

試験課題

「病気の子どもを預かるのは特殊な保育だ」という考え方はなぜ誤解なのか」を口述する課題です。

状況設定

公式テキスト図1-6 よくある誤解 の図を提示しました。

病児保育とは

合格基準

口述内容が、下記に示すような内容を含み、主旨に沿ったものであったかどうかで判定しました。

●健康だったり不健康だったりするのは子どもの当り前の姿
●健康な時も病気の時も子どもは子ども
●健康と不健康を行ったり来たりするのが通常の子どもの姿
●保育の定義における「子ども」はあらゆる状態の子どもすべてを含んでいる。
●すべての子どもが保育の対象
●病児保育は保育の中に含まれている

ポイント解説

「健康な子どもを預かること」が「標準的な保育」であり、「病児保育」というと、「特殊な保育」と考える方もいますが、わたしたちは別の見方をしています。

保育所保育指針 第1章 総則3 には、子どもの保育に携わる者の原理原則が示されています。
すなわち、「子どもが現在を最もよく生き、望ましい未来をつくり出す力の基礎をつちかう」ために
目標を定めて行動していかなければならない、という部分です。

また、同指針 第1章 総則2には、保育所の特性について示した部分には、次のように示されています。

「保育所は、その目的を達成するために、保育に関する専門性を有する職員が、
家庭との綿密な連携の下に、子どもの状況や発達過程を踏まえ、保育所における環境を通して、
養護及び教育を一体的に行うことを特性としている」

保育所保育指針には、「発達過程」と言う言葉が度々登場します。
子どもの発達を、年齢で画一的にとらえるのではなく、「発達のプロセス」を大切にしようとする考え方です。

さて、子どもは健康と病気を交互に経験し、成長します。
乳幼児期には免疫が未発達なため、さまざまな感染症にかかります。
感染することで免疫をつけながら成長していくと言えます。

つまり、病気は一概に「悪い」ことではなく、人間の成長の過程であり、
私たちは「子どもの病気」を、健全な発達の課程だと考えます。

改めて、保育所保育指針に立ち返ってみると、
ここに定義されている「子ども」とは、「健康な子ども」だけでなく「病気の子ども」「障がい児」も含む様々な状況・発達過程にある「子ども」だということがわかります。
保育そのものの中に、子どもの「状況・状態」として、「病児保育」も「障がい児保育」も、含まれていると考えられます。

この「保育観」を土台にして専門的なスキルと知識を身につけ、
子どものが病気の時にもよりよく生きることを助け、
その成長過程に伴走するのが、
「認定病児保育スペシャリスト」なのです。

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この保育観とその周辺については、
認定病児保育スペシャリスト試験公式テキスト 第1章・第2章で詳しく触れています。
また、認定病児保育スペシャリスト資格取得web講座では、
講義1「病児保育とは何か」で、当協会理事長 駒崎弘樹がこの保育観についての講義を担当しています。

参考

保育所保育指針
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/hoiku04/pdf/hoiku04a.pdf

保育所保育指針 解説書
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/hoiku04/pdf/hoiku04b.pdf

 

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