【幼児の熱性けいれん】第4回資格認定試験のポイントと解説②(基礎的な看病の仕方について理解する)
2015.04.10
第4回 認定病児保育スペシャリスト認定試験では「熱性けいれん」の口頭試問を出題しました。
熱が短時間で急上昇し、体がそれについていかない時に、脳細胞が刺激を受けて全身の筋肉がけいれんを起こすことがあります。突然意識がなくなり、全身の筋肉が硬直したり、ビクンビクンとけいれんしたりします。このような熱性けいれんが起きた場合、保育者は慌てず適切な対応を行うことが求められます。
【参考:公式テキスト第9章「基礎的な看病の方法」(83ページ)】
試験課題
(状況設定)
あなたは病児保育室に勤務する保育士。
1才8か月の女の子、ユウちゃんのお預かり。
昼過ぎから熱が上昇中で、10分前の検温では39.2度。
突然「あーーーっ!!」と叫び出し、全身を反らせながら全身を硬直させガクガクと震え始めた。
3分経過したが収まる気配がない。このような状況は、今回が初めてとする。
(設問1&設問2)
ユウちゃんに何が起こっているのか、状況について回答用紙に記入してください。
設問1で記入した内容を読み上げてください。
(制限時間:1分以内に回答用紙に記入、記入後1分以内で発表 ※合計2分以内)
(設問3&設問4)
叫び声を聞いたあと、あなたがとるべき対応の手順を回答用紙に記入してください。
設問3で記入した内容を読み上げてください。
(制限時間:3分以内に回答用紙に記入、記入後3分以内で発表 ※合計6分以内)
合格の基準
この設問では、下記の3点について判定を行いました。
●正しく状況把握ができる
●熱性けいれん時の観察が大切なことを理解している
●119番通報をする
ポイント解説
この設問の採点基準です。
(設問1&設問2)
ユウちゃんが突然「あーーーっ!!」と叫び出し、全身を反らせながら全身を硬直させガクガクと震え始めた場合、考えられるのはどのような状況でしょうか?
状況を判断するポイントは「お昼すぎから熱が上昇している」という点です。熱が短時間で急上昇したことが引き金となり、熱性けいれんが起きていると考えられます。
(設問3&設問4)
症状がはじまって3分以上経過している、またこのような状況は今回が初めてという設定のため、救急搬送を行う必要があります。救急隊の到着まで保育者としてとるべき対応は以下のとおりです。
①周囲の安全を確認する
②時間をはかる / けいれんが始まった時間を確認する
③呼吸が楽になるように衣服をゆるめる
※衣服をゆるめる理由(呼吸が楽になるように)に言及した場合は加点
④吐物で窒息しないよう、顔を横に向ける
※顔を横に向ける理由(吐物で窒息しないよう)に言及した場合は加点
⑤119番通報する
※「他のスタッフを呼んで119番通報を依頼する」は可とします
⑥救急隊が来るまで女児の傍からを離れない
⑦救急隊が来るまで女児を観察する
模範解答例
試験の設定に基づき、順に手順を確認していきましょう。注:文中の「★」は所作の内容
(設問1&設問2)
★ユウちゃんはお昼過ぎより体温が上昇していて、10分前には39℃を超えています。
急激な体温上昇による熱性けいれんを起こしていると考えられます。
(設問3&設問4)
★まずユウちゃんのまわりの安全を確認します。
★けいれんがはじまった時間を確認します(あるいは、「けいれんが続いた時間を確認します」)。
★呼吸が楽になるように、衣服をゆるめます。
★吐しゃ物で気道をふさがれることを防ぐため、体を横向きにします。
(口の中には何も入れないようにします。かつてはスプーンや割り箸を口に入れるとよいと言われてきましたが、誤った処置です。)
★119番通報をします(あるいは「他のスタッフに119番通報してもらえるよう、お願いします」)。
★救急隊が到着するまで、ユウちゃんの傍から離れないようにします。
★救急隊が到着するまで、ユウちゃんの様子を観察します。
けいれんが全身性なのか一部なのか、チアノーゼ(皮膚の粘膜が紫色になって白目をむく)が起きていないかなど観察します。
もう熱性けいれんで慌てない!詳しくはこちらの記事もチェック!
この記事でご紹介したのは「熱性けいれんが3分以上続いている、また今回がはじめて」という、あらかじめ状況を設定した中での模範解答です。実際には子どもの熱性けいれんが続く時間は様々ですし、救急搬送や医師の受診が必要なケースは他にもあります。
熱性けいれんが発生しやすい年齢、救急搬送な医師の受診が必要なケースといった、今回の出題には含まれていない『熱性けいれんの基本的な対応』に関しては、別の記事でご紹介しています。
【もう熱性けいれんで慌てない】基本対応のすべて!
http://sickchild-care.jp/point/5147/
この機会にあわせてチェックされることを、強くおすすめします。
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