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保育所での集団発生が起こりやすいのに、あまり知られていない!?マイコプラズマ肺炎

2014.05.15

3分でわかる認定病児保育スペシャリスト

マイコプラズマ肺炎の原因は、「マイコプラズマ」という微生物です。普通の細菌と異なり、細胞壁がありません。
風邪と症状が似ていますが、咳が長い間続くようならマイコプラズマ肺炎を疑ってみる必要があります。
かかりやすい年齢は幼児期から青年期で、乳幼児と高齢者に多い通常の細菌性肺炎とは異なっています。集団発生が起こりやすい感染症として、「保育所における感染症対策ガイドライン」(厚生労働省)でも注意喚起されています。
今回は、ふだん耳にする「肺炎」とは症状や経過が異なるマイコプラズマ肺炎を、「肺炎」と比較しながら紹介していきます。

 

マイコプラズマ肺炎とは?

マイコプラズマという微生物が原因の肺炎です。痰は少なく、コンコンと乾いた咳が特徴です。X線写真(いわゆるレントゲン写真)では目立った変化がないことが多く、ふつうの肺炎とは異なる肺炎ということで、異型(いけい)肺炎とも呼ばれます。
ふつうの肺炎=「細菌性肺炎」では肺胞という、肺でガス交換をおこなう小部屋に肺炎球菌などの細菌が感染し、膿がたまります。咳とともに茶色や濃い黄色の膿性痰が多く出ますし、X線写真では肺胞に膿がたまった部分が白い影としてうつります。130806_01_clip_image002
マイコプラズマ(写真出典:神奈川県衛生研究所

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マイコプラズマ肺炎の流行時期

秋季から冬季にかけてやや多くなる傾向にありますが、年間を通してみられます。

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マイコプラズマ肺炎の特徴(ポイント)

・潜伏期間は2~3週間と長めです。潜伏期間中に大人に二次感染することもあります。
・普通の風邪と見分けがつきづらいです。乾いた咳が続くようなら、医療期間を受診しましょう。
・症状や治癒までの期間は、個人差の大きい感染症です。
経過中に激しいおう吐、頭痛などが続く場合は、すぐに医療機関を再受診しましょう。

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マイコプラズマ肺炎の潜伏期間

潜伏期間は2~3週間と長めです。
年齢別では幼児期~青年期にかけての患者が多く、乳幼児と高齢者に多い細菌性肺炎とは異なっています。
感染により抗体ができますが、生涯続くものではなく、再感染もよくみられます。
このため、大人が感染することもあります。保育園・幼稚園や小学校・中学校に通っている子どもがいる家庭の場合は、子どもが集団の中で感染し、潜伏期間内に家族に二次感染を起こすケースが多いです。

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マイコプラズマ肺炎の症状

発熱、頭痛、全身けん怠感、コンコンと乾いた咳(痰を伴わない)などから始まります。
この乾いた咳は少し遅れたタイミングで始まることもあります。普通の風邪と見分けがつかず、診断・治療が遅れるケースがみられます。
乾いた咳が長く続く場合は、マイコプラズマ肺炎の可能性を考え、医療機関を受診することをおすすめします。
肺炎球菌を原因とする細菌性肺炎では、発病してから1~2日ほどで重症となりますが、マイコプラズマ肺炎は症状の進行がゆるやかで発熱も軽い傾向がみられます。症状・治癒までの期間には個人差があります。長い場合では、1ヶ月以上続く人もいます。

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マイコプラズマ肺炎の感染経路

マイコプラズマ肺炎にかかった人の咳やくしゃみなどに含まれる病原体によって、人から人へ感染します(飛まつ感染)。

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マイコプラズマ肺炎の予防

予防接種はありません。他の感染症と同様、手洗いとうがいを徹底しましょう。

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マイコプラズマ肺炎の治療法

水分を補給し、安静を保つことが大切です。通常の風邪と比べると、治療期間はやや長くなります。
咳や熱に対しては、市販のかぜ薬を使って構いません。ですが、根治するには抗菌薬が必要です。効果のある抗菌薬(抗生物質)は一部に限られており、医師から処方をうけた薬のみを使用しましょう。
かつて、マイコプラズマにはマクロライド系の抗菌薬(クラリスなど)がよく効きました。しかし、現在ではマクロライドという抗菌薬に耐性(効かない)のマイコプラズマがほとんどとなっていまいました。これは必要のない時に抗菌薬が頻用され、正しく服用されなかったことが原因と考えられています。抗菌薬に耐性の細菌を増やさないために、以前に処方された抗菌薬を自己判断で服用させることは、絶対にやめましょう。

マイコプラズマ肺炎の症状は個人差が大きく、長い場合では1ヶ月以上続く人もいます。経過中に発熱が続き、激しいおう吐、頭痛等がみられる場合は髄膜炎になっている可能性も考えられますので、医療機関を受診してください。

ほかにも溶血性貧血、中耳炎、心筋炎、心嚢炎、ギラン・バレー症候群、スチーブンス・ジョンソン症候群など、多くの合併症が報告されています(国立感染症研究所感染症情報センター)。死亡例もあるので注意が必要です。

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マイコプラズマ肺炎の感染期間(いつから保育園・学校に行けるの?)

登園の目安は「発熱や激しい咳が治まっていること」(症状が改善し全身状態が良いこと)です。
学童期、青年期に比べ、乳幼児では典型的な経過をとらないため、症状の変化には注意が必要です。

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日本病児保育協会では、定期的に感染症の記事を発信しています。記事の更新はメールニュース等でお伝えしています。

病児保育 感染症情報 メール

 

今回の記事は、国立感染症研究所感染症情報センター 神奈川県衛生研究所、  広島市 、厚生労働省 マイコプラズマ肺炎に関するQ&A などをもとに当協会が作成し、久住英二先生にご指導いただきました。

久住英二先生プロフィール

2008年にJR立川駅の「エキュート」内にナビタスクリニックを開院。「駅徒歩0分のお医者さん」のナビタスクリニックは現在、川崎・東中野の駅ナカにも展開。All About や THE HUFFINGTONPOST にもチャンネルを持ち、専門分野での情報提供にも精力的に取り組まれていらっしゃいます。





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