【鼻水の基礎】悪化を防ぐために鼻水のいろはを知ろう!
2014.10.29
風邪症状の代表“鼻水”。
いつものことだから・・・と放っておくと、気がついたら悪化して副鼻腔炎に!!
知っているようで意外と知らない、鼻水に関する基本的知識やマメ知識をお伝えします。
ポイントをおさえ、重症化する前により素早く対処をしましょう。
鼻水の原因
ウイルスに感染して、鼻の粘膜が過剰に刺激されると、いわゆる鼻風邪といわれる急性鼻炎の症状を引き起こします。
またスギなどの花粉や、ダニやホコリなどのハウスダストといったアレルギーの原因になるものが、体内に侵入してアレルギー物質を作り、鼻水などを引き起こします。
実は正常な状態でも、吸った空気に湿気を与えるためなどに、成人では1日約6リットルの鼻水が分泌されています!
子ども(特に乳幼児)の鼻の特徴
鼻の中の空間が狭く、少しの気温の変化で鼻水の分泌が増えます。
口呼吸よりも鼻呼吸の方が優位なため、口呼吸がまだ上手くできません。
鼻と耳をつなぐ耳菅が、大人に比べると水平になっており、原因菌が鼻から耳に入りやすいです。
鼻と目をつなぐ管(鼻涙管)は、鼻が詰まると目やまぶたの腫れの原因になります。
鼻水の状態からみる症状
水様性
透明で粘稠度が低く水っぽい鼻水です。主にアレルギー性鼻炎と急性鼻炎の初期に見られます。
粘液性
粘稠度はあるが、色は透明から薄い色の鼻水がでます。急性鼻炎の発症から数日経ったころや、慢性副鼻腔炎で細菌感染が著明でない時に見られます。※下記の膿性のものに移行することも多いです。
膿性
細菌感染をおこしている時に見られます。色が濃く、粘調で臭いを伴うこともしばしばあります。慢性副鼻腔炎で細菌感染が著明な時にみられます。また急性副鼻腔炎でも膿性になることが多いです。
その他
血の混じった鼻水は、外傷の時や急速に炎症が起きている場合に見られます。進行性鼻壊疽という病気や、悪性腫瘍で見られることもあります。片側のみの場合は、異物によることも多いです。
鼻水悪化で子どもに起こりやすい症状
副鼻腔炎(急性・慢性・蓄膿症)
後鼻漏
中耳炎
●副鼻腔炎
鼻水の過剰な分泌や粘膜の浮腫によって鼻腔と副鼻腔をつなぐ自然口の詰まりを導き、鼻腔とつながっている8つの副鼻腔のいずれかまで炎症が広がって起こります。慢性化することもあり、急性副鼻腔炎(1ヶ月程度)と慢性副鼻腔炎(3ヶ月以上)は罹病期間により分類されます。さらに悪化して副鼻腔に膿がたまる“蓄膿症”も副鼻腔炎です。
アレルギー性鼻炎や花粉症の時期に合併して起こることもあります。
子どもの副鼻腔は小さく、副鼻腔炎にかかりやすいですが、成人に比べ自然治癒しやすいのも特徴で、成長過程で蓄膿症も自然に治るケースもあります。
副鼻腔は年齢とともに大きくなり、10歳くらいには成人の副鼻腔に近づきます。
子どもの副鼻腔炎に見られる主な症状
鼻 閉…鼻がつまります。
鼻 漏…ねばねばした鼻水が出ます。
後鼻漏…ねばねばした鼻水がのどに落ちます。
情緒不安定…頭痛や頬部痛が起きることもあり、情緒不安定になることもあります。
微 熱
その他…鼻の中の異臭、嗅覚障害など。
●後鼻漏
本来、鼻水は鼻から入ってきた空気の加温・加湿に用いられたり、再吸収されたりします。
しかし、アレルギー性鼻炎・副鼻腔炎が原因で鼻汁が過剰に分泌された場合、咽頭へ流下してしまうことがあります。
特に慢性の副鼻腔炎の場合などは、粘性または膿性のものであり、流下した先で炎症を起こしやすくなっています。この炎症により、のどの違和感や咳・痰の症状が現れます。このような症状がある場合、後鼻漏が原因となっている場合があります。
子どもの後鼻漏に見られる主な症状
のどのイガイガ感
へばりつくような痰
湿性咳嗽(しっせいがいそう)…体を横にした際に鼻水がのどへ流れ、その刺激で「ごほっごほっ」という痰が絡むような咳がでます。湿性咳嗽は日中より就寝時や起床時に多いので、後鼻漏や副鼻腔炎を判断する大きな目安になります。
●中耳炎
中耳炎は、主に細菌が中耳に入り炎症を起こします。子どもは耳管が未発達なため、細菌などが侵入しやすく、0歳~5歳頃は風邪が悪化し中耳炎にかかりやすいとされています。
中耳炎に見られる主な症状
耳痛…痛みとともなって、耳閉感もおこります
発熱…高熱になる場合もあります
▽中耳炎について詳しくはこちらをご覧下さい
【急性中耳炎】普段の生活から予防しよう。症状、原因、応急処置を確認!
鼻水を悪化させないためのケア
子どもは鼻をすすってしまったり、上手く鼻をかめなかったりするので、こまめに鼻水を取り除きましょう。
鼻水をすすってしまったり、詰まったままにしておくと悪化し、上記のような症状を起こすこともあります。
部屋の湿度を高める
鼻をかませる…鼻をかむ際は「1.片方ずつかむ 2.ゆっくり小刻みにかむ 3.強くかみすぎない」ことに注意して、鼻水をすすらせないように注意します。
綿棒や鼻水吸い器を使う…鼻の粘膜を傷つけないように詰まった鼻水を取り除きます。
蒸しタオルや吸入器を使う…蒸しタオルを鼻にあてたり、吸入器で蒸気を吸うことで粘稠度のある鼻水を排出しやすくします。
鼻のかみ方を教えるコツ
片方の鼻だけで呼吸を実感させるコツ
1. 鼻の入り口に手をあてさせ、鼻から息を強めに出して空気がでてくるのを実感させる
2. ティッシュを使わずに口を閉じて鼻から息を吐く練習をする
3. 2ができるようになってきたら、片鼻の穴を押さえてかむようにする
※3までができるようになるまでティッシュは使わずに、まずは片鼻だけで呼吸を実感できるようにしましょう。
鼻のかみ方を“楽しく”教える方法 その1♪
1. テーブルの上に小さくちぎったティッシュを数個置く
2.大きく息を吸って、口を閉じる
3.片鼻を押さえ、押さえていない鼻の鼻息で「ふんっ!」とティッシュを飛ばす
鼻のかみ方を“楽しく”教える方法 その2♪
小さく丸めたティッシュを片鼻に軽く入れて、もう片方の鼻を押さえてティッシュを飛ばす。
ティッシュを飛ばす距離を競い、ゲーム感覚でできます。
※鼻にティッシュを入れる際は、ティッシュが詰まらないよう、あまり強く入れすぎないように十分注意してください。また、鼻を強くかみすぎると鼻を痛めてしまう可能性もあるため、注意しながら行ってください。
保育所での対応
鼻水にはウイルスや細菌がたくさん含まれています。
保育所では他のお子さんや保育者への感染を防ぐためにも鼻をかんだ後の適切な対処が必要です。
ティッシュはフタ付きのゴミ箱に捨てる…鼻水は乾燥することで空気中に数時間浮遊します。鼻水をかんだティッシュを捨てる際はフタ付きのゴミ箱を使うと良いでしょう。
ティッシュは子どもの手の届かないところに…感染を防ぐため、またティッシュを口に入れることによる窒息を防ぐため、鼻をかんだティッシュを他の子どもの手に届かないようにしましょう。
鼻をかんだ後は手を洗う…感染を防ぐために手をよく洗いましょう。
参考文献
この記事は以下の資料を元に当協会が作成し、横浜市高津区の小児科・北浜こどもクリニックの北浜院長にご指導いただきました。
(北浜先生の突撃レポート記事はこちら→【突撃☆隣の病児保育!】『パパ・ママが安心して育児・仕事できる世の中にしたい』病児保育室ブルーラグーンに行ってきました!)
●きょうの健康 気になる鼻づまり「あなどれない副鼻くう炎」
●急性副鼻腔炎診療ガイドライン 追補版(2013)
●慢性副鼻腔炎における後鼻漏の原因とその治療
●一般社団法人 日本鼻科学会 HP
●一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 HP
●保育所における感染症対策ガイドライン