【ほっとせいの病児保育入門塾】~病児保育の課題とは?番外編~
2015.01.21
みなさん、こんにちは。
今回で第4回目の病児保育入門塾は番外編「病児保育リサーチ」です。
前回の「病児保育の課題とは?」でお話した内容に関して、ほっとせい先生としのちゃんで東京都の病児保育をリサーチし、もう少し詳しいお話をしてくれるようです。
第4回病児保育入門塾、開講です。
病児保育の利用料金って、誰が決めているの?
先生、前回の授業で利用料金についてのお話があったよね?
授業の後考えていたんだけど、結局あの利用料金て誰が、どういう基準で設定しているの?
☆前回のおさらい☆
病児・病後児保育施設では、運営を助ける補助金を国から受けている施設が多くあります。
しかし、補助金を受けることで逆に人員配置や利用料金額に制約がつく場合があり、その制約により生まれる赤字部分は、補助金だけでは賄うことができず、運営を助けるための補助金が、結果的に赤字を生み出す要因になってしまっていることもあります。
詳しくは第3回病児保育入門塾「病児保育の課題とは?」をご覧ください。
確かにそうね。
東京都内の病児・病後児保育施設の利用料金は平均して1日2,000円~2,500円に設定しているところが多いけれど、この金額を高いと思う人もいると思うし、逆に安いと思う人もいると思うわ。※1
東京都福祉保健局の「平成25年度東京都病児・病後児保育事業補助要綱」には利用料金について、「事業を実施するに当たって、あらかじめ利用者負担額を設定すること」としているわ。
けれど、これって具体的に誰がどういう基準で設定するのかしらね。
(図1,図2:東京都福祉保健局:『人口動態統計 出生数・出生率(平成14年~平成25年)』と『子育て支援情報一覧』を元に当協会が調査・作成)
※利用料金は区民/市民が8時間利用した場合の料金です。
この他にもおやつ代や登録料、延長料金などを別途設定している施設もあります。
また、区外/市外の利用者には別料金を設定している自治体があったり、ほとんどの自治体では、生活保護世帯や所得税非課税世帯等は、利用料金が減免になる場合があります。
んー…東京都福祉保健局に聞いてみるね!
~~~東京都福祉保健局に電話終了後~~~
先生、東京都では、都がこの利用料金を決めているわけではないみたい。
各区や市などに任せているんだって。
じゃあ、次は各自治体に聞いてみたらわかるかな!
~~~各自治体に電話終了後~~~
23区の内、10区の担当の人に「一律で定めている利用料金の設定基準」を聞いてみたよ!
どうだった?何か理由はわかったかしら?
んー…。それが、明確な理由はわからなかったの。
どこの区も同じように、「常識の範囲内と思われる利用料金として」「設定されたのがかなり前で、わからない」といった回答だったよ。
ということは、もしかしたら利用者に利用料金のアンケートをとったりしたのかもしれないけれど、何か明確な理由があるわけではないところもあるのかもね。
中には、他の自治体と同じような料金設定にしているっていうところもあったから…。
※1:平均して1日2,000円~2,500円という金額は、東京都23区及び市での区民/市民の方が4時間以上利用した時の金額の平均です。
ほとんどの自治体で、生活保護世帯や所得税非課税世帯等は、利用料金が減免になる場合があります。
稼働率と利用料金の関係は
病児・病後児保育施設の利用料金の明確な設定基準はわからなかったわね…。
例えば、その利用料金によって施設の稼働率が変わったりはするのかしら?(ちなみに稼働率は、「稼働率=年間延べ利用児童数/(施設定員×年間開所日数)」の式を使って算出するわよ。)
そうだね。平均より高い利用料金を設定している施設の稼働率が低い、とかいったことはあるのかな?
これも、聞いてみよう!!
~~~施設への電話終了後~~~
しのちゃん、どうだった??
利用料金が1,500円~5,000円の15施設に聞いてみたよ。
そのうち回答してくれたのは8施設だったわ。
回答を利用料金が2,500円未満の施設と2,500円以上の施設で分けて、稼働率を出してみたよ。
2,500円未満の施設、2,500円以上の施設ともに1年の平均稼働率は約50%で、利用料金による稼働率の平均値での違いはなかった。
ただ、病児保育施設と病後児保育施設で稼働率をわけた時、その違いがでているみたい。
ほとんどの施設で病後児保育施設は同じ区/市内の病児保育施設に比べて、稼働率は約半分だったよ。
ということは、病児・病後児保育施設を使う人の割合は、利用料金によって異なるというより、病児保育施設か、病後児保育施設か、で違いがでるのね。
そうみたい。
この統計も東京都の全区/市に聞けたわけではないから、必ずしもそうとは限らないけれど、病児・病後児保育施設を使う人は、「できるだけ安い施設」というよりも、「利用料金にかぎらず、ほとんどの病状で預かってくれる病児保育」を求めている、ということかしら。
もちろん、ワーママ(ワーキングマザー)の私にとっても、安いに越したことないわよぉ~。
けれど、1番は「子どもが病気になった時に、お迎えまで安心して預けられること」だわ。
利用料金が安いがために、その病児保育施設の運営が上手くいかずに、安心・安全な病児保育ができなくなったり、施設がなくなったりしてしまったら、ワーママは1番困るんじゃないかしら。
そうだよね。
もちろん、これ以上高かったら使えないわ!っていう方もいるだろうし、利用者側と運営者側、どちらの声も大切よね。
けれど、病児保育を本当に求めている人に、その手が届くようなで制度が整っていくといいな。
※参考・・・国庫補助を受けている病児対応型・病後児対応型施設1,102箇所(病児対応型561か所、病後児対応型541か所)の平均稼働率は、病児対応型45%、病後児対応型16%。(出典:厚生労働省資料『病児保育事業について』平成25年11月25日)
♪キーンコーン カーンコーン♪
もう時間ね。今日はしのちゃんと一緒に病児・病後児保育施設の利用料金と稼働率(利用率)の関係性を見ていったけれど、次回で病児保育入門塾は最後よ。
今日までの学びを活かして、もう1度病児保育の意義を考えていきましょうね。