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【妊婦さんは特に注意が必要な「りんご病」】次の流行は、来年2016年!?

2015.02.10

3分でわかる認定病児保育スペシャリスト

ほぼ5年ごとの流行周期で発生数が増加する「りんご病」。
前回の流行は2011年・・・ということは、来年2016年は当たり年!?
妊婦さんは特に注意が必要な感染症。でも保育所で子どもが感染することもある「りんご病」の症状から登園(登校)のめやすまでをお伝えします。

背景黒_手のひらの上にりんご

伝染性紅斑(りんご病)のポイント

チェックマーク感染力は潜伏期間に最大となる
チェックマーク感染しても、子どもでは30%、大人では60%の人は、症状(発疹など)が現れない
チェックマーク子どもと大人では症状の現れ方が異なる
チェックマーク健康な子どもでは重症化はまれだが、妊婦は注意が必要
チェックマーク 2歳以下のこどもが感染することは少ない、主に3~12歳の子供が多く感染する

 

この記事の目次

icon_pushpin01_46りんご病とは(定義)
icon_pushpin01_46りんご病が発生しやすい年齢
icon_pushpin01_46りんご病の感染経路
icon_pushpin01_46りんご病の症状
icon_pushpin01_46りんご病の潜伏期間
icon_pushpin01_46りんご病の流行時期
icon_pushpin01_46保育中に気をつけること
icon_pushpin01_46医師の受診が必要なケース
icon_pushpin01_46治癒・登園(登校)のめやす
icon_pushpin01_46妊婦がりんご病に注意すべき理由
icon_pushpin01_46記事の監修・参考文献

 

りんご病とは(定義)

伝染性紅斑(でんせんせいこうはん)は、ヒトパルボウイルスB19の感染による小児を中心にしてみられる流行性発疹性疾患で、両頬がリンゴのように赤くなることから別称「りんご病」とも呼ばれる感染症です。(以後、この記事では俗称の「りんご病」を用います)

りんご病 頬の写真
出典:国立感染症研究所ホームページ

一度感染すると免疫(終生免疫)ができ、生涯二度とかかりません。

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りんご病が発生しやすい年齢

小学校入学前後から2~3年の小児に多く、約半数の人が15歳までに免疫を得ますが、乳児や成人での発症もみられます。

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りんご病の感染経路

せきやくしゃみなどによって飛び散る飛沫に含まれる病原体が、口や鼻などの粘膜に直接触れることで感染(飛沫感染)します。胎児への垂直感染(病原体が母親から子供へと感染 (母子感染)すること)や血液を介する感染経路もあります。

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りんご病の症状

発疹が出る1週間~10日ほど前に、発熱・筋肉痛・倦怠感がみられることがあります。
両頬の発疹から始まり、1~2日後には肩から腕・大腿に赤い発疹が出現し、数日後にはまだらなレース編み模様になります。欧米では平手打ちされた跡のような頬(slapped-cheek)と表現されます。
発疹は痒みを伴うことが多く、通常5~7日で消えていきますが、いったん消失した発疹が日光や運動などによって再び出現してくることがあります。

レース編み模様の発疹
画像:写真で見る「子どもの病気」より

年長児~成人では、腰や膝の関節痛がみられることがあります。

妊婦の感染では胎児の組織などに水分がたまる「胎児水腫」や流産の恐れがあります。
感染したのに症状が出ない場合(不顕性感染)もありますので、妊娠中に上の子が感染した場合は必ず産婦人科に相談するようにしてください。

ごくまれに、脳炎・脳症、心筋炎などの合併症を引き起こすことがあります。
先天性の溶血性貧血や免疫不全状態の子がかかると重症化します。

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りんご病の潜伏期間

感染してからりんご病の症状が出るまでの潜伏期間は、4~21日程度です。
発熱・筋肉痛・倦怠感などの軽い風邪症状が現れるまでが、4~10日間程度。
発疹が現れるまでは10~21日間程度となります。

りんご病の感染期間

発疹が現れる前が一番感染力の強い時で、発疹が出た時には逆に感染力はほとんどありません。
微熱・咳・鼻水といった軽い風邪のような症状で始まります。
発疹が出て初めて「りんご病」とわかるため、気づかないうちに感染を広げてしまうことの多い感染症です。
感染しても軽く済むことが多く重症化はまれですが、妊娠期間中に感染すると「胎児死亡」などを発症することがあるため、妊娠中のお母さんは要注意です。(詳しくは後述します)

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りんご病の流行時期

年度による変動はありますが、例年、春ごろから7月上旬にかけて症例数が増加し、9月頃の症例が一番少ないという季節性があります。
国立感染症研究所情報センターの感染症発生動向調査によると、おおよそ5年ごとの流行周期が認められ、最近では2007年と2011年にりんご病が小流行しています。

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保育中に気をつけること

発症前にもっとも感染力が強いので、対策が難しい病気です。
食べ物なども、ふだんどおりで大丈夫です。
ただし、日光に長くあたると、赤みが長びくこともあるので外遊び時には配慮が必要です。
保育所・幼稚園など集団保育の場で流行している時は、妊娠中の職員・保護者への注意喚起が大切です。(送迎等をなるべく避けてもらう、マスク着用など)

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医師の受診が必要なケース

下記のような場合には、医師の受診が必要です。
・発疹の鑑別を要する時(違う病気の可能性がある時)
・かゆみが強くなった時
・高い熱が出た時
・元気がなくなってきた時 など

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治癒・登園(登校)のめやす

発疹が出てからは(診断がついてからは)感染力はありませんので、全身の状態がよければ特に休園の必要はありません。
学校保健法でも、「学校において予防すべき伝染病」の中には明確に規定はされていないため、出席停止の規程はありません。

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妊婦がりんご病に注意すべき理由

一般に欧米では妊婦にヒトパルボウイルスB19感染は約0.25-1%に成立すると考えられており、その中で2-10%が胎児水腫(胎児の組織などに水分がたまる)となります。そのため年間出生数を100万人とすると年間2,500-10,000例の妊婦がヒトパルボウイルスB19に感染し、その中で50-1,000人が胎児水腫となります。

日本ではりんご病の流行年だった2011年を対象に、厚生労働省が初めての全国調査を実施しています。
回答があった1,990施設を分析すると、母から胎児へのヒトパルボウイルスB19感染が確認されたのは69人。
この69人のうち、35人が流産、14人が死産、3人が中絶、無事出産したのは17人でした。
また、69人中、約半数の34人には母体のりんご病の明らかな症状はありませんでした。
これは妊娠中の母親が気付かないうちにお腹の赤ちゃんに感染している、ということを意味しています。
さらに、この34人中21人で家族または同僚といった身近な人がりんご病に感染していたことがわかっています。
母体の感染に関しては採血でわかりますが、胎児への感染の診断は羊水や超音波異常、臍帯採血や胎児体液中のヒトパルボウイルスB19などの検出が必要で、多くは胎児水腫や胎内死亡で発見され、診断に至るためにこのような結果が出た可能性もあります。しかし、胎児水種は出生後全身の循環管理を要し、場合によっては生命にもかかわる疾患です。
さらにりんご病はかかった後に発疹が出て確定される病気であるため診断が難しく、流行時の妊婦さんの予防に関してはワクチンもないため特に注意が必要になります。
風疹と同様に、妊婦が罹患すると胎児に深刻な影響を与える可能性があることを、知っておく必要があります。

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