【エピペン注射のタイミングを具体的な症状で判断】日本小児アレルギー学会がエピペン使用基準を発表
2013.07.30
日本小児アレルギー学会のアナフィラキシーワーキンググループが「一般向けエピペンの適応」を決定し、7月24日にエピペンの使用基準に関する指針を発表しました。
「ショックを疑う症状が1つでもあれば使用する」
昨年12月に調布市で、小学校5年生の女の子が乳製品に対するアナフィラキシーショックを起こして死亡した事件を受けて、学校などにおけるアナフィラキシー 症状への対応の改善が模索されてきました。
今回の基準では、「ショックを疑う症状が1つでもあれば使用する」としていて、このシンプルで分かりやすい基準が示されたことで、非医療者におけるアナフィラキシーショックへの対応が進むことが期待されます。
各自治体の取り組み
昨日7/29付けの日経新聞においても、給食におけるアレルギーへの対応が取り上げられました。
同記事によると、上述の調布市の事故を受けて、市の検討委員会は、おかわりの禁止や、アレルギー発作を起こしやすいソバやピーナッツの使用禁止、除去食を食べる子のトレーの色分けなどを含めた再発防止策を23日まとめました。
また、滋賀県多賀町の中学校では、給食に原因食材が入っていないか、生徒や保護者が確認できるウェブサイトを立ち上げました。学校と家庭でアレルギー情報の共有と献立の確認を徹底させることが狙いで、アレルギー情報を一元管理し、毎日の献立と食材の一覧では、原因食材が赤い文字で表示されます。
仙台市では、老朽化した給食センター2箇所を来年度以降統合し、新たなセンターに除去食専用の調理スペースを設置する方針です。
東京都の3歳児4割がアレルギー持ち!?
3歳児を対象とした、東京都が行った平成21年の調査によると、「これまでに何らかのアレルギー症状の診断を受けいている児」は38.8%にものぼります。
東京都HP
「アレルギー疾患を持つ子供に関する調査をしました 保育所等を対象とした児童施設調査及び3歳児全都調査」
▼http://www.metro.tokyo.jp/INET/CHOUSA/2010/04/60k4m100.htm
保育所におけるアレルギー対応ガイドイン
保育所でのアレルギー対応については、2年前の2011年3月に、「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」が、厚生労働省から出されています。今後はこのガイドラインも、今回発表された指針に準拠していくことになります。
「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」で、エピペン注射のタイミングは以下のように記載されています。
『保育所においてはアナフィラキシー等の重篤な反応が起きた場合に速やかに医療機関に救急搬送することが基本ですが、しかし重篤な症状が出現し、時間的猶予がないような場合には緊急避難として保育所の職員が「エピペン®0.15mg」を注射することも想定されます。投与のタイミングは、ショック症状に陥ってからではなく、その前段階(プレショック症状)で投与できた方が効果的です。具体的には、呼吸器症状として頻発する咳、喘鳴(ゼーゼー)や呼吸困難(呼吸がしにくいような状態)などが該当する。』
これが、今回の指針では「呼吸器の症状」「消火器の症状」「全体の症状」と、より細かく示されたことに、意義があります。
実際のエピペンの打ち方についても、決して難しいものではありませんが、「予め知っておく」ことで、万が一の時にも慌てずに対応することができます。厚生労働省が「動画によるマニュアル」を公開していますので、ぜひ一度確認ください。(エピペンの打ち方については「後半編」の7分ぐらい~)
▼動画による「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」 前半
▼動画による「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」 後半
当協会でも、今年の3月にアレルギーを題材としたセミナーを行いました。アレルギーやアナフィラキシー、エピペン使用の留意点に関してまとめていますので、是非ご確認ください。
練習用エピペンも実際に使用しました
「【無料セミナーレポート】アレルギー講座×ふれあい遊び(前半)」
関連キーワード: アレルギー, エピペン, ガイドライン