利用者目線の【工夫】があふれる「ろくごう病児保育室」
2019.12.05
インタビュー 病児保育スペシャリスト:牧瀬さん
――こんにちは。牧瀬さんには、以前もインタビューに出ていただいた事がありますね。その節はありがとうございました。その後いかがですか?
こんにちは。前回から3年ほどでしょうか。ここの病児保育室も少しずつ大きくなって、病児の定員も保育士さんの人数もだいぶ増えました。
でも、私の仕事としてはあまり変わってないですね。みんなが働きやすいようにサポートすることを心がけています。
――サポートとは具体的にどのようなことをされているのでしょうか?
例えば、朝の保護者との別れで泣いてしまうお子さんに寄り添って、保育士さんが次の方の対応に取り掛かれるようにしています。基本的に保護者との対応は保育士さんのお仕事なので。
それから、保育士さんが保護者から聞き取りをした内容を「保育記録」からクリニックのカルテに転記させること。たくさんの情報の中から、必要な情報を選ぶのに、認定病児保育スペシャリストの講座で勉強したことが役に立っています。
あと、病児保育室のホームページの予約画面を細かくチェックして、感染症の情報や多動傾向など気になるお子さんの予約が入ったら、素早く対応することですね。
保育士さんが安心して保育に集中出来るように、いつも考えています。
――認定病児保育スペシャリストの勉強が役に立っていると言われると、少し嬉しいですね。
病児保育の予約についてはどのようなシステムを設けられていますか?
「ウェブのみ」で予約を受け付けています。
「キャンセル待ち」の電話連絡といった対応はなく、入力が完了したら予約は確定です。定員いっぱいになってしまったら、「誰かがキャンセルするまで仮入力も出来ない」というシステムです。
でも、ウェブから気軽に予約出来てしまうせいか、当日の朝にバタバタとキャンセルが入る事が多いんですね。何回も利用していて慣れている方は、そこも分かっていて、朝上手いタイミングで予約されているようです。なので、予約を希望された方は、だいたい利用できているようです。
入室時に全員が医師の診察を受けるので、かかりつけ医の受診は必須ではないです。前日の夜や当日の朝からの発熱したお子さんも利用可能になっています。
ここが「医療機関併設型」の強みでしょうか。気軽に使っていただきたいですね。
――ますますのご活躍を期待しています。どうもありがとうございました。
インタビュー 伊藤院長先生
――こんにちは。本日はよろしくお願いいたします。
お名刺に「保育士」とありますが、保育士資格もお持ちなのですか?
はい、こんにちは。どうぞよろしくお願いします。
病児保育を始めるにあたって、保育士さんの雇用が必要ということになりまして、それまで一緒に働いていた事務員さんに、保育士さんの資格を取ってみる気はないか、と声をかけてみたんですね。
でも、まずは自分でお手本を示さなければ、と参考書と問題集を買って、仕事や家事の隙間時間に勉強しました。「ピアノを弾いて歌う」のと「お絵かき」のテストを受けて、晴れて「保育士」の資格を取った次第です。
――小児科専門医が保育士資格もお持ちとは素晴らしいですね!
はい、ありがとうございます。勉強自体は学生時代を思い出して、楽しかったです。
あと、食品衛生管理者の資格も取りました。実際に私が調理する事は少ないけれど、施設運営上、持っていた方が良いかなぁ、と。
――先ほど、保育室を拝見して、それぞれの部屋のコンセプト、そして機能面でもステキな保育室だと感じました。どのような想い・目的で作られたのですか?
目的というほどではないんですけど、「安全で安心して、快適な時間を過ごして欲しい」とは思っています。お子さんだけでなく、保護者にもスタッフにも。
――スタッフの皆さんはどのような方が多いですか?
ほとんどのスタッフが地元採用ですね。
もともと、ここの患者さんだったお母さんが、スタッフになった例もあります。
皆さん自転車で通勤しています。お昼の休憩時間には、一度自宅に帰って家事を済ませてたりしているみたいです。
保護者会など学校行事にはちゃんと出席出来るように、シフトを組んでいます。最優先事項として対応しますよ。「働くお母さん」に優しい職場です。
――病児保育室を始めて、良かった事はありますか?
そうですね。世界が広がりました。
開業医ってとても孤独なんですよ。更に子育てをしていると、患者さんと自分の子ども以外とはほとんど会話しないですね。夜間や休日に自分の時間がある訳でもないですし。
でも、病児保育を始めて、それぞれのお子さんのいろいろな事を知ることができました。
あとは「近くの他の先生がこんな事を言っていた」とか、なるほどと、思う事も多いです。
病児保育を始める前にたくさんの方とお話しをする機会があって、いろいろ指導していただいたり、逆に最近は「今度病児保育を始めたいです」という方に見学に来ていただいたり。
そう言えば、まだ始めの頃、(日本病児保育協会)理事長の駒崎様に直接アドバイスをいただいて、イメージが出来あがった経緯があります。その節はどうもありがとうございました。
こんな風に取材の方とお会い出来るのも、病児保育を始めたおかげでしょうか。
――いえいえ、恐縮です。逆に大変だった事はありますか?
そうですね。当日の朝になってのキャンセルが結構多い事ですかねえ。
お熱が下がったか、仕事の都合がついたか。利用しないで済んだのだったら、それはお子さんにとって良いことではありますが。
8人9人の予約が入ってきて待機の保育士さんにも出勤要請をしていたのに、キャンセルが相次いで、結局、利用が1人きりといった事があると、やっぱり切ないですね。
最近は、まあそんなものかと思うようにしていますけど。
――それは、病児保育を行う上で切り離せない課題ですよね。
本日はどうもありがとうございました。
利用者目線がいっぱいの素敵な病児保育室でした。
ろくごう病児保育室の皆さん、ありがとうございました。
(終)