【突撃★隣の病児保育!】東松山 病児保育室ピッピに行ってきました!
2014.05.03
【突撃★隣の病児保育!】第12弾では、初めて埼玉県の病児保育施設にうかがうことができました!その場所とは、埼玉県の真ん中、東松山市にある「病児保育室ピッピ」。
東松山市からの委託を受け、昨年(2013年)7月に開設された医療機関併設型の病児保育室です。
ピッピに勤務するスタッフの中には、今年1月に当協会の「認定病児保育スペシャリスト」資格を取得された方もいらっしゃいます。
今日は病児保育室の責任者であり、ほしこどもおとなクリニックの院長である星礼一先生のインタビューをご紹介します。
(「認定病児保育スペシャリスト」に認定されたスタッフお2人のインタビューも、近日中に合格者の声ページに掲載予定です。)
(お話をうかがった星礼一先生)
―――はじめに、病児保育室をはじめられたきっかけを教えていただけますか。
私が病児保育に出会ったのは、10年ほど前になりますでしょうか、大分県の病院で小児科に医師として勤務していた頃までさかのぼります。
大分県では共働きの方が多く、病児保育を利用されていた親御さんから感謝される場面を何度も目にしました。
当時から開業した時には病児保育もやってみたいとずっと考えていまして、2010年のほしこどもおとなクリニック開業の際に、病児保育のスペースも用意していました。
―――このスペースを開業の際からすでに用意されていたのですね。こちらの建物は大きな国道沿いに面した窓も特徴的ですし、外側からみても日当たりのよさがわかる建物になっていますね。
はい、建物の中で一番日当たりも眺めもよい部屋です。
(注:2階の道路側に面した部屋が病児保育室となっています。)
病児保育をはじめる前は予防接種が終わったお子さんが待機する場所だったのですが、今でも入りたがるお子さんがいるくらい、人気のスペースです。
お子さんが少しでも穏やかな気持ちで病児保育を利用いただけるようにと思っています。
―――実際にどのような方の利用が多いですか。
幹線道路沿いに立地しているので、もともと小児科の外来も東松山市内に限らず、周辺の市町村から患者さんがいらしています。
東松山市内からのご利用が6割~7割くらいです。このためピッピも東松山市内だけでなく、近隣の市町村や川越市、狭山市などもう少し離れた地域にお住まいの方のご利用もあります。
この近辺に病児保育室が少ないこともあり、今後も東松山市外からのお預かりにも可能な限り対応できたらと考えています。病気のお子さんを持った親御さんは、本当に大変ですからね。
―――1日にお預かりするお子さんの定員は4名ですね。予約の状況などはいかがですか。
今のところ1日にお預かり3名したケースがあります。今年に入ってからインフルエンザの流行などもあり、浸透してきたかなという印象を持っています。
―――開設されて半年少したったタイミングですが、ピッピでの病児保育について、あらためて先生がお感じになっていることはありますか。
医療機関併設ならではですが、子どもの状態が急変した時にすぐ対応できることの強みを感じています。
また、発熱後にインフルエンザの検査を行って確実に診断する、ぜいぜいしていたら吸入するなどできました。
保育士のスタッフはお預かりのお子さんの様子を細やかに報告してくれるので、感心しているところです。
―――勤務されるスタッフの体制は、どのようになっていますか。
保育士2名と看護師1名で保育にあたっています。看護師は小児科のスタッフが交代で入ることもあります。
全員のスタッフが、ピッピではじめて病児保育に取り組むことになりました。
開設前に他の病児保育施設を見学するところからスタートして、今までひとつひとつ作り上げてきました。
―――スタッフの採用にあたって、星先生が重視されたことはありますか。
2点あります。まず1つは「まじめ」であることでしょうか(笑)。
2つめは「病児保育についての捉え方」といったらいいでしょうか。過去に保育経験のある方からもご応募いただいたのですが、保育士の方にもいろいろな方がいることがわかりました。「お預かりの時間ただ子どもを見ていればいい」とだけ解釈している方もいて、そうではないですよね。
お預かりの間、親御さんの代わりに子供を預かり発達を促すことなど、非常にやりがいのある仕事であることを理解したうえで、病児保育にのぞんでほしいと思います。
―――先ほど実際にお預かりの様子を拝見しました。今日はじめて病児保育を利用するお子さんがいらして、保育士の方が「(お子さんが)不安になってしまうといけないので、抱っこしながらのインタビューでも大丈夫ですか?」とお話しいただき、こちらではお子さんの気持ちに寄り添って保育をされているという印象を受けました。
(この日はじめて利用のお子さんを抱っこしながらインタビューに応じてくださった保育士の大野さん。1月の認定試験に合格された、認定病児保育スペシャリスト2期生です!)
(同じく認定病児保育スペシャリスト2期生である看護師の南雲さん。パズル、手遊びなど、もうすぐ4歳のお誕生日が近づいていたお子さんの発達段階にあわせた保育を行っていました。)
(星先生)ありがとうございます。嬉しいですね。
―――星先生ご自身は、日頃スタッフの方をどのように指導されているのでしょうか。
病児保育を始めるからには、病児保育室のスタッフだけでなく、(ほしこどもおとな)クリニック勤務のスタッフを含めて、全員で病児保育についてのスキルを高めようと考えていました。
現在は、スタッフが自主的にコミュニケーションをとっていて、私自身がリードしている感じではないですね。積極的に発言してくれるスタッフが多く、病児保育室の案内パンフレット作成にあたっても、いろいろ意見を寄せてくれました。
―――病児保育室ピッピのアピールポイントを教えていただけますか。
繰り返しになりますが、「スタッフのチームワークのよさ」につきると思います.
私自身が回診して子どもの様子を見ていますが、子どもがいい顔をしていることに気がつきますね。保育士をはじめスタッフが協力して子どもにとってよい環境を作るために頑張っていることが伝わってきて、本当に嬉しくなります。
―――それではこの企画恒例、病児保育について一言メッセージをいただけますでしょうか。
「社会貢献とグッドサイクル」
質の高い病児保育があれば病気のお子さんが安心して過ごせる、病気の子どものお母さんが仕事に行くことで社会が回るなど、グッドサイクル(成功の好循環)が生まれますよね。
質が保たれることが大切で、その意味で病児保育の資格も必要だと思います。スタッフが「認定病児保育スペシャリスト」を取得したこともあり、これからスタッフ間での勉強会なども、本格的に開いていきたいですね。
―――最後に今後の病児保育について、星先生のお考えをお聞かせいただけますか。
委託を受けている東松山市の市長からは「ずっと続けてほしい」と言われていますので、頑張ります。
病児保育とは話が少し違ってしまうかもしれませんが、私自身がNICU(新生児特定集中治療室)に勤務していたことがあります。NICUを退院された後に療育を必要とするお子さんが、きょうだいの運動会などで一時預かり保育を利用しようとしても、利用できる施設が本当に少ないのです。私も親御さんと一緒に施設を探したことがあるのですが、平気で「半年待ち」と言われたりもしました。
療育そのものは療育専門の施設で行うにしても、病児保育と同様に一時的に利用できるような、中間の施設が必要だと強く感じています。
自分が生きている間くらいの長期的な目標になってしまいますが、病児保育をはじめ、そうしたお子さんもお預かりできるようになりたいと思いますね。
―――これまでインタビューでうかがった開業年数の長い小児科の先生からは、診察を行っていく中で病児保育の必要性を感じて開設を考えたというお話をうかがってきました。
これからは星先生のように開業前など早い時期から病児保育を意識するケースが増えていくのでは?と感じさせられるインタビューでした。病児保育だけでなく、療育が必要なお子さんの一時預かかり保育まで実現できる日が来たら、素晴らしいですね。
本日はお話をうかがわせていただき、ありがとうございました。
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