【突撃★隣の病児保育!】大阪で訪問型病児保育を展開するNPO法人ノーベルにインタビューしました!
2014.07.08
【突撃★隣の病児保育!】第14弾は当協会での理事である、NPO法人ノーベルの代表理事、高亜希さんにお話をうかがいました。ノーベルは大阪市、吹田市、東大阪市西部にお住まいの方を対象に、訪問型病児保育サービスを展開しています。
この春からは大阪市淀川区の委託を受けて、全国の政令指定都市で初めてとなる、利用登録者(保護者)が会費を出しあって、保育料に充てる共済型モデルの訪問型病児保育(『淀川パック』)をスタートさせました。
(お話をうかがった高亜希さん)
―――はじめに、高さんが病児保育を始めたきっかけを教えていただけますか。
社会人になって5,6年たつと、職場の先輩や同僚の女性が子どものために仕事を辞めていく様子を目の当たりにするようになりました。「子どもが生まれたら、保育園に預ければOK」ではなく、「子どもは頻繁に病気になって、保育園に行けなくなる」ということをその時初めて知りました。このままだと女性は働き続けられないなと思ったのが、きっかけです。病児保育の必要性を強く感じました。
―――実際に病児保育をはじめるために、どのように準備されたのですか。
すでに東京で病児保育を展開していたNPO法人フローレンスで1年間学びました。大阪に戻ってから準備をはじめ、2010年2月に大阪の一部(中央区・西区)でサービスを開始しました。今以上に「子どもが熱を出している時くらいは母親が面倒を見るべきだ」とも、いろいろな人に言われました。
自分1人で立ち上げましたし、自分自身保育士でもなく、母親でもない。自分と同じ志を持つ「仲間」を集めるために、できるだけのことはしました。
―――「仲間」であるノーベルのスタッフを採用する時に、重視されたポイントはありますか。
まずはビジョンに共感することです。
(注:ノーベルのビジョン「子どもを産んでも当たり前に働き続けられる社会」)
自分が描いている「こういう社会を作りたい」と思う気持ちに対して、「私も一緒に作りたい」と思えるかどうかをみます。
次は人としてどうかです。こういうビジョンを描くと「私もやりたい」ということになりがちですが、私たちのサービスは病児保育を利用する親御さんやお子さんで成り立っています。
だからこそ親御さんや子どもたちの気持ちを受けとめることができる、聞く力、受けとめる力があるかどうかを大切にしています。「受容できる力」といったらよいでしょうか。
本部スタッフ、保育スタッフに関わらず、ポイントの1つとして受容の素質があるかどうかを必ずみます。
―――「受容できる力」、今日のキーワードの一つになりそうですね。では、ノーベルの保育スタッフはどのような経験をお持ちの方が多いですか。
保育士は20代から60代まで、子育て経験のある主婦や、看護師など、様々ですね。
保育士、主婦、看護師それぞれのバランスがとれるよう、採用の時は意識しています。
―――様々な経験をお持ちのスタッフが混在しているなかで、病児保育のスキルアップについては、どのように取り組んでいますか。
本部で年間スケジュールを組んで、研修を実施しています。専門性が必要な知識については外部の講師を呼んで講義をお願いしています。これまでに実施したのは、発達障害や乳幼児専門のプログラムを組んでいる心肺蘇生の知識などですね。
研修の際は必ずアンケートをとっていますので、「子どもの遊び(年齢の高いお子さんの遊び)を勉強したい」、「感染予防の勉強をしたい」など、スタッフから要望があがってきてテーマを決めることもあります。
―――研修以外で、スタッフの方が情報を共有される機会はありますか。
ケース会議を1ヶ月に2回くらい実施しています。
―――それでは視点をかえて、病児保育を利用されている利用会員さんとのコミュニケーションは、どのように図られていますか。
私たちと一緒に社会を変えていこうというスタンスで、「働く!!おかん図鑑」を作成、販売しています。
利用会員の親御さんにインタビューする、アンケートをとることで、ノウハウ、子育てと仕事の両立に奮闘している姿を広く浸透させることを目指して活動しています。
―――サービスを開始されて5年目に入られたところですが、これまでに思い出に残る病児保育のエピソードを教えていただけますか。
サービス開始の時のことですね。マスコミの取材が入っていたこともあり、自分も(利用会員の)お宅にうかがいました。(病児保育を利用した)お子さんが「こうせんせい、ありがとう」といって絵を書いてわたしてくれました。子どもから何かを受け取るということで、本当にうれしかったです。
私たちは親御さんをサポートしていますが、子どもが安心して1日をすごせることが何より励みになります。
―――では、ノーベルのおすすめ、PRポイントといえば何でしょうか。
本当の意味で「現場を第一に考えている」ということですね。
お子さん、親御さんの不安をどうくみとって、どう解決していくかを徹底しています。
親御さんへの保育経過の報告も立ち上げもサービス開始当初からのものですし、本部と保育スタッフとのコミュニケーションも1日平均2回は行っています。本部でもお子さんの様子がわかるメリットがあります。親御さんからも「安心しました」と言っていただけますね。
訪問型の病児保育だからこそ、1対1保育だからこそ、「こうあらなくてはならない」というところにはこだわりを持っています。
―――最後にこの企画恒例、病児保育について一言メッセージをいただけますでしょうか。
「人と人があたり前に助け合える社会」
「淀川パック」などの新しいサービスの意義、そこで発信したいことの1つは「誰であってもセーフティネットがある」ということです。
病児保育なんて必要なくて、お互いで子どもを見ることができればいいですが、まだまだ無理ですよね。ノーベルは利用会員さんからの利用料で運営していますが、中には支払えない人もいます。お金を払うだけで物事を解決する世の中ではなく、一旦社会全体で何ができるのだろうかということを、みんなで考えないかというところに意味があるのではと思っています。最後の最後の手綱として、何ができるのかという時の選択肢をこれからも増やしていきたいです。
―――どうもありがとうございました!
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